大腿筋膜張筋 Musculus tensor fasciae latae
大腿筋膜張筋は下肢の筋の中でも特徴的な形態と機能を持つ筋肉であり、股関節と膝関節の運動および安定性において重要な役割を果たします。以下に解剖学的特徴と臨床的意義を詳細に説明します(Gray, 2020; Neumann, 2017)。

J0215 (右の寛骨:筋の起こる所と着く所を示す外側からの図)

J0495 (右大腿の筋:腹側からの図)

J0500 (右殿部の筋:外側からの図)

J0501 (右側の殿部の筋:外側からの図)

J0599 (右大腿深層部の動脈:前面からの図)

J0962 (右の臀部の深部神経:後方からの図)

J0963 (右大腿の神経:後方からの図)
1. 解剖学的特徴
形態と構造
- 扁平で細長い紡錘形の筋腹を持ち、平行に配列された筋線維構造を特徴とします(Standring, 2021)
- 筋長は約12-15cmで、比較的短い筋腹から長い腱性部分(腸脛靭帯)へと移行します
- 筋線維の配列は単羽状構造(unipennate)を示し、力の伝達効率が高い構造となっています
起始部
- 上前腸骨棘(Anterior Superior Iliac Spine: ASIS)の外側部から起始します
- 腸骨稜(iliac crest)の前方外側部、ASISの後方約5cmの範囲からも起始します
- 大腿筋膜の深層面にも一部線維が付着しています
- 起始部の面積は約2-3cm²で、比較的狭い起始面を持ちます(Moore et al., 2018)
停止部
- 筋腹は大腿上部1/3の高さで腸脛靭帯(Iliotibial tract/band: ITB)に移行します
- 腸脛靭帯を介して脛骨外側顆(lateral condyle of tibia)のGerdy結節に停止します
- 一部の線維は腓骨頭(head of fibula)、膝蓋骨外側縁、大腿骨外側上顆にも付着します
- 腸脛靭帯は大殿筋の表層線維とも融合し、強力な腱膜構造を形成します(Fairclough et al., 2006)
位置関係と周囲構造
- 中殿筋(gluteus medius)と小殿筋(gluteus minimus)の前外側に位置します