掌側骨間筋 Musculi interossei palmares
掌側骨間筋は、手の内在筋(固有筋)の一つで、手の複雑な運動と精密把握に関与する重要な筋群です。解剖学的・機能的に詳細な特徴は以下の通りです(Gray, 2020; Standring, 2021):

J0205 (右の手骨:筋の起こる所と着く所を示す手掌側からの図)

J0323 (右手の第二から第五の指の中手骨と最初の関節、およびそれらの靱帯、掌側からの図)

J0484 (右の母指球の深筋)

J0486 **(**右手の掌側骨間筋)

J0944 (右手の神経:深層)
解剖学的特徴
- 数と位置:3対(第2指の尺側、第4指の橈側、第5指の橈側)で、中手骨間の掌側(手掌面)に位置する(Netter, 2019)
- 形態:一般的に単一頭を持ち、薄く扁平な紡錘形
- 起始:第2、4、5中手骨の側面(中指を向いた面)。具体的には:
- 第1掌側骨間筋:第2中手骨尺側面
- 第2掌側骨間筋:第4中手骨橈側面
- 第3掌側骨間筋:第5中手骨橈側面
- 停止:対応する指の基節骨底部の側面および指背腱膜(虫様筋と同様の停止パターン)
- 隣接構造:
- 背側には背側骨間筋
- 掌側には屈筋腱とその腱鞘
- 深掌動脈弓と深枝尺骨神経が近接
- 発生学:上肢芽の間葉組織から分化し、第7週頃から筋分化が始まる(Moore et al., 2018)
機能と生理学
- 主機能:示指・薬指・小指を中指に向かって引き寄せる(内転)(Saladin, 2022)
- 関節作用:
- 中手指節(MP)関節:屈曲
- 指節間(PIP・DIP)関節:伸展(指背腱膜への停止による)
- 精密把握への関与:物体の保持や精細操作において重要な役割
- 運動連鎖:伸筋腱膜を介して浅・深指屈筋と協調して作用
神経支配と血行
- 神経支配:尺骨神経深枝(C8、T1)(Tortora and Derrickson, 2017)
- 血液供給:
- 主要:深掌動脈弓(主に橈骨動脈由来)
- 補助:掌側中手動脈
解剖学的変異と特記事項
- 中指には掌側骨間筋が存在しない(中指は「運動の中心軸」として機能)(Tubiana et al., 2016)