頭半棘筋 Musculus semispinalis capitis

J0077 (頭蓋骨、筋の起こる所と着く所:右方からの図)

J0081 (外頭蓋底:筋の起こる所と着く所を示す図)

J0415 (右側の頭頚部の筋:後方からの図)

J0449 (広い背中の筋(第2層):背面図)

J0453 (広い背筋(第3層):背面図)

J0454 (頚部の筋(左:第2層、右:第3層):背面図)

J0457 (背部の短い筋(第1層):背面からの図)

J0561 (顔の深部動脈:右側からの図)

J0611 (顔の深部静脈:右側からの図)

J0927 (脊髄神経の後枝:後方からの図)

J0928 (右上部頚神経の後枝:後方からの図)
解剖学的概要
頭半棘筋は、頚部深層筋群に属する最も大きく強力な筋の一つであり、頚部後面の深層に位置する(Gray and Carter, 2021)。この筋は横突棘筋群(transversospinales)の一部を構成し、頚部および頭部の伸展運動において中心的な役割を果たす。頭半棘筋は、その解剖学的位置と機能的特性から、姿勢制御、頭部運動、そして頚部疾患の病態生理において極めて重要な臨床的意義を持つ(Standring, 2023)。
詳細な解剖学的構造
起始
- 上位6個の胸椎(T1-T6)の横突起から起始する筋束
- 第7頚椎(C7)の横突起から起始する筋束
- 第4~6頚椎(C4-C6)の関節突起(articular processes)から起始する筋束
- 各起始部は独立した筋束を形成し、それぞれが異なる角度で上行する(Standring, 2023)
- 起始腱は短く強靭であり、骨膜と強固に結合している
停止
- 後頭骨の上項線(superior nuchal line)と下項線(inferior nuchal line)の間の項平面(nuchal plane)に広範に停止する
- 停止部は扇状に広がり、強靭な腱膜(aponeurosis)を形成する
- 停止腱は外後頭隆起(external occipital protuberance)の両側で特に厚くなる
- 停止範囲は横方向に約6-8cmに及び、頭部の安定化に寄与する(Moore et al., 2022)
筋の構造と形態
- 複合羽状筋(multipennate muscle)の形態を示し、効率的な力発生が可能である
- 内側筋束と外側筋束の2つの主要な部分に分けられる:
- 内側筋束:より大きく、主に下位頚椎および上位胸椎の横突起から起始
- 外側筋束:より小さく、主に上位頚椎の関節突起から起始
- 各筋束は独自の中間腱(intermediate tendon)を有し、これにより効率的な力の伝達が可能となる(Moore et al., 2022)