後十字靭帯 Ligamentum cruciatum posterius
後十字靭帯(PCL: Posterior Cruciate Ligament)は、膝関節の安定性を維持する重要な靭帯構造です。前十字靭帯(ACL)とともに膝関節の中心部に位置し、膝の動的安定性に不可欠な役割を果たします。

J0247 (右の脛骨と腓骨:上方からの図)

J0335 (右の膝関節と脛骨:上方からの図)

J0337 (右の膝関節:前方からの図)

J0338 (右膝関節:前方からの図)

J0339 (右膝関節:後方からの図)
解剖学的構造
起始と付着
- 起始部:脛骨後顆間区の後方部分から起始します。この部位は脛骨高原の後方に位置し、関節面の後縁から約1cm後方に延びています
- 走行:斜めに前内方および上方へ向かって走行し、前十字靭帯の後方を交差するように通過します
- 付着部:大腿骨内側顆の顆間窩前部、関節軟骨との境界部に強固に付着します
- 走行角度:ほぼ垂直に近い走行を示し、前十字靭帯よりも太く強靭な構造を持ちます
線維構造
- 前外側線維束(Anterolateral bundle, AL束):より大きく強靭な線維束で、膝関節屈曲時に緊張します
- 後内側線維束(Posteromedial bundle, PM束):より小さな線維束で、膝関節伸展時に緊張します
- この二束構造により、膝関節の全可動域において常に一部の線維が緊張状態を保ち、安定性を維持します
血管供給と神経支配
- 血管供給:主に中膝動脈(middle genicular artery)から栄養を受けます
- 神経支配:固有感覚受容器が豊富に分布し、膝関節の位置感覚や運動制御に重要な役割を果たします
機能
主要機能
- 脛骨の後方引き出し制動:膝関節における脛骨の大腿骨に対する後方変位を防ぐ主要な制動機構です
- 膝関節屈曲時の安定性:特に膝関節屈曲位において、脛骨上端が後方へ落ち込むのを防止します