大腿骨頚は大腿骨頭に続く部分で、ややくびれた形状をしています。下外側方に向かって斜めに傾き、その軸は大腿骨体の軸に対して120~130°の角度(傾斜角、頚体角)をなしています。大腿骨頚は大腿骨体との間で屈曲します。体重の負荷は頚を経て大腿骨体に伝達されますが、頚には力学的に特に大きな力が加わります。特に頚の内側部には大きな負荷がかかり、この部位の骨は厚く発達します。傾斜角は年齢と性によって変化します。乳児では骨頚と骨体とはほぼまっすぐです。幼児では角度はまだ大きい(約160°)ですが、その後、骨盤が広く発達するとともに角度は小さくなり、成人では約130°になります。女性は男性よりも小さい傾斜角を持ちます。これは女性の骨盤が広く、大腿骨が短いためです。大腿骨頚は前後に圧平されており、下方に行くにしたがって幅が広くなります。大腿骨頚は大腿骨体の上端が内側方に曲がったものであり、大転子と小転子の存在により大腿骨頚と大腿骨体が明確に区別されます。