鶏冠 Crista galli
鶏冠は篩骨の正中部から頭蓋腔内に突出する重要な骨性隆起であり、頭蓋底の解剖学的構造と臨床診療において中心的な役割を果たしています(Gray and Standring, 2021; Carter, 2023)。以下に、その詳細な解剖学的特徴と臨床的意義について包括的に記述します。

J0040 (篩骨:少し簡略化された後方からの図)

J0041 (篩骨:上方からの図)

J0042 (右の篩骨迷路:内側からの図)

J0043 (右の篩骨迷路:外側からの図)

J0044 (篩骨、垂直板:左方からの図)

J0085 (内頭蓋底、アノテーション付き)

J0094 (頭蓋骨の前頭断、後方からの図)

J0097 (左方からの鼻腔、骨性鼻中隔)

J0355 (頭蓋骨:後頭前頭方向からのX線像)

J0357 (頭蓋骨:右左方向からのX線像、軸線は右の外耳道の少し上から入ります)

J0903 (脳硬膜:右上方からの図)
解剖学的特徴
位置と形態:
- 鶏冠は篩板(lamina cribrosa)の上面正中線上に位置し、頭蓋前窩(anterior cranial fossa)の中央部で垂直方向に突出しています。この構造は前頭骨の前頭稜(frontal crest)と連続し、頭蓋腔内の正中部を形成します(Standring, 2024)。
- 矢状面では三角形状の鋭い隆起として観察され、その高さは通常15-20mm程度ですが、個人差が大きく、5mmから30mm以上まで変動します(Moore et al., 2023)。
- 前後径は約15-25mm、前方は細く尖った形状を呈し、後方に向かって徐々に幅広くなり篩板に移行します(Netter, 2024)。
組織学的構造:
- 主に緻密骨(compact bone)で構成されますが、約20-30%の症例で含気化(pneumatization)が認められ、前頭洞から延長した含気腔が鶏冠内に進入します(Rhoton, 2024)。
- 骨髄腔は通常存在しませんが、高齢者では骨吸収により小さな骨髄腔が形成されることがあります(Tubbs et al., 2023)。
- 表面は硬膜と密接に結合しており、特に前方では大脳鎌の付着により強固な結合組織層を形成します(Drake et al., 2024)。
周囲構造との関係:
- 前方:前頭骨の前頭稜に連続し、前頭洞の後壁に近接します(Som and Curtin, 2024)。
- 後方:篩板に移行し、嗅神経(olfactory nerves)が通過する多数の篩孔(foramina cribrosa)に隣接します(Sinnatamby, 2023)。
- 両側:嗅球が位置する嗅溝(olfactory sulcus)を形成し、左右の前頭葉底面を分離します(Snell, 2024)。
- 上方:大脳縦裂(longitudinal cerebral fissure)の最下部に位置し、大脳鎌が付着します(Carter, 2023)。
機能的役割
力学的機能:
- 大脳鎌の前方付着部として機能し、硬膜の緊張を維持することで左右大脳半球の安定化と分離を実現します。この機能により、頭部の回転運動時における脳実質の過度な変位を防止します(Drake et al., 2024)。