骨盤 Pelvis
骨盤は、人体の下部にある複雑な骨構造で、解剖学的および臨床的に重要な特徴を持っています(Drake et al., 2020):

J0001 (骨格:前方からの図)

J0002 (骨格:右方からの図)

J0150 (約8.5cm(約12週)胎児:正面からの図)

J0151 (18.5cm長(約17週)胎児:前面からの図)

J0152 (18.5cm長(約17週)胎児:背面からの図)
J0152 (18.5cm長(約17週)胎児:背面からの図)

J0218 (男性の骨盤:前下方からの図)

J0219 (女性の骨盤:前下方からの図)

J0220 (男性の骨盤:上方からの図)

J0221 (女性の骨盤:上方からの図)

J0222 (男性の骨盤:後下方からの図)

J0223 (女性の骨盤:下方からの図)

J0224 (男性の骨盤、正中断、右半分:左方からの図)

J0225 (女性の骨盤、正中断、右半分:左方からの図)

J0226 (女性の骨盤:登録ずみの直径付きの図)

J0227 (女性の骨盤、正中断:左からの右半分、登録された直径付き)

J0277 (約8ヶ月胎児の右寛骨:外側からの図)

J0455 (長い背筋(1層目):背面図)

J0456 (長い背筋(第2層):背面図)

J0458 (短い背筋(2層):背面図)

J0459 (短い背筋(第3層):背面図)

J0961 (右側の骨盤の神経:左方からの図)
- 解剖学的構成:
- 左右の寛骨(os coxae)、仙骨(os sacrum)、尾骨(os coccygis)から構成されます(Standring, 2021)。
- 寛骨は腸骨(os ilium)、坐骨(os ischii)、恥骨(os pubis)の3つの骨が癒合したものです(Moore et al., 2018)。
- 仙骨と尾骨は脊柱の一部であり、仙骨は5個の仙椎が、尾骨は3〜5個の尾椎が癒合したものです(Netter, 2019)。
- 区分と境界:
- 大骨盤(pelvis major)と小骨盤(pelvis minor)に分けられます(Standring, 2021)。
- 両者の境界は分界線(linea terminalis)で、これは岬角(promontorium)、弓状線(linea arcuata)、恥骨櫛(pecten ossis pubis)、恥骨結合上縁(margo superior symphysis pubicae)で構成されます(Drake et al., 2020)。
- 解剖学的機能:
- 腹部内臓や骨盤内臓(膀胱、直腸、女性では子宮・卵巣)を収容し保護します(Moore et al., 2018)。
- 体幹と上肢の重みを支え、両下肢に負担を分散させ、寛骨臼(acetabulum)を介して大腿骨頭と関節を形成します(Netter, 2019)。
- 骨盤底筋群の付着部となり、骨盤底を形成して内臓を支持します(Dietz and Shek, 2016)。
- 性差の解剖学的特徴:
- 全身の骨格の中で最も性差が顕著な部位であり、骨盤計測は産科学的に重要です(Cunningham et al., 2018)。
- 女性の骨盤は男性より幅広く、浅く、軽量で、骨盤入口は円形に近く、恥骨下角は広い(90°以上)のが特徴です(Tague, 2000)。
- 男性の骨盤は深く、重く、骨盤入口は心臓形で、恥骨下角は狭い(70°以下)傾向があります(Caldwell and Moloy, 1938)。
- 女性の小骨盤腔は分娩に適した広さと形状を持ち、骨盤径(入口径、中間径、出口径)が産科学的に重要です(Cunningham et al., 2018)。
- 発達と加齢変化:
- 寛骨を構成する腸骨、坐骨、恥骨は、胎生期に軟骨で形成され、出生後に骨化が進みます(Scheuer and Black, 2004)。
- 16〜17歳頃に寛骨臼(acetabulum)を中心に完全に癒合して一つの骨になります(Cardoso, 2008)。
- 高齢者では骨粗鬆症による骨密度低下が起こり、特に女性では骨折リスクが高まります(Kanis et al., 2013)。
- 臨床的意義:
- 骨盤骨折:交通事故や転落などの高エネルギー外傷で発生し、出血や内臓損傷を伴うことがあります(Tile et al., 2015)。
- 産科的評価:骨盤の形状や径は分娩経過に影響し、狭骨盤は分娩困難の原因となります(Cunningham et al., 2018)。
- 骨盤臓器脱:骨盤底筋群の脆弱化により、膀胱瘤、直腸瘤、子宮脱などが生じることがあります(DeLancey, 2016)。
- 放射線治療:骨盤内の悪性腫瘍に対する放射線照射の際、骨盤の解剖学的構造が重要な指標となります(Jabbour et al., 2014)。
骨盤は解剖学的にも臨床医学的にも極めて重要な構造であり、その形状や大きさには顕著な個人差と性差があります。特に産婦人科、整形外科、泌尿器科、外科など多くの臨床分野で骨盤の解剖学的知識は必須とされています(Moore et al., 2018; Standring, 2021)。
参考文献
書籍
学術論文
日本人のからだ(平田和明 2000)によると
東洋医学における骨盤の概念: