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目次(IV. 内臓学)

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図275(女性の骨盤内臓器)

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図276(女性骨盤部の正中断面)

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図284(子宮、卵管、卵巣、子宮広間膜、腟上部)

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図285(女性の骨盤内臓器)

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図286(子宮の上皮)

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図287(卵管膨大部(横断))、288(子宮体の横断面)、289(子宮体粘膜)

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図290(腟、子宮、右卵管)

子宮は対称的な構造を持つ厚壁の器官である。卵管から運ばれてきた受精卵を受け入れ、発達する間それを養い、成熟した胎児を分娩によって体外に送り出す役割を果たす。

若い女性の完成された子宮は、前後に圧平された西洋ナシのような形をしており、中央部分がくびれている。小骨盤内で膀胱と直腸の間に位置し、その上端は骨盤入口を超えない。上部はやや前屈し、下部は腟円蓋に包まれている。そのため、下部は腟内にはまり込み、後下方を向いている。子宮の縦軸は骨盤軸とほぼ一致しており、膀胱面Facies vesicalisと直腸面Facies rectalisを持つ。

子宮の上部は子宮広ヒダと呼ばれる腹膜のひだに包まれている。このヒダの後葉は下方まで達し、腟円蓋の上も覆っているが、前葉はより早く膀胱底で上方に折れ返っている。

若い女性の子宮の平均長は6~7.5cm、幅は子宮底で4.0~5.5cm、腟上部で1.5~3.0cm、前後の厚さは子宮底で2.2~3.0cm、頚部で1.5~2.5cmである。

子宮の性状は月経に伴って変化する。受精卵が長期間発達を続けると、子宮の大きさ、構造、形、内腔に著しい変化が生じる。分娩後、子宮は徐々に元の形に戻るが、完全に元の状態には戻らない。そのため、出産経験のある女性の子宮はやや大きくなる。しかし、加齢により生殖機能が失われると子宮は縮小し、通常、若い女性のものより小さくなる。処女の子宮重量は44~60g、非妊娠時の一般女性では89~120gである。

子宮はKörper、Enge、Halsの3部に分けられる。

子宮体Corpus uteri(図284(子宮、卵管、卵巣、子宮広間膜、腟上部))の上部は幅広く凸縁を持ち、Fundusと呼ばれる部分は卵管付着部より上に突出している。下方に行くにつれて幅が狭くなり、体の下方部分(約6mmの長さ)を子宮峡部Isthmus uteriという。ただし、峡部の境界は外からははっきりしない。後面である直腸面Facies rectalisは、前面の膀胱面Facies vesicalisよりもやや強く膨らんでいる。卵管付着部の前下方、子宮の側縁(外側縁Margo lateralis)から子宮鼡径索Chorda uteroinguinalisが伸びている。

これとほぼ同じ高さで、さらに後方に子宮卵巣索Chorda uterovaricaが付着している。子宮頚Cervix uteriは円筒状で狭い。その下端は腟内に突出しており、腟上部Portio supravaginalisと腟部Portio vaginalisの2つの部分に分かれる。腟部の下端には横方向の開口部があり、これを外子宮口Orificium externum uteri, Muttermundと呼び、子宮腔と腟を結ぶ開口部である。外子宮口は2つの厚い子宮口唇Muttermundlippenに囲まれている。後方にあるやや小さい方を後唇Labium dorsaleといい、それより大きい前唇Labium ventraleよりも少し上方に位置する。ただし、後唇は前唇よりも腟壁の高い位置で付着しているため、より長く見える。両唇ともに腟の後壁に接している(図276(女性骨盤部の正中断面))。

子宮口唇の縁は処女では滑らかで丸みを帯びている。一度でも出産を経験すると、多くの場合滑らかさが失われ、裂け目が生じることがある。その結果、子宮口は円形になり、漏斗状を呈する。

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[図284]子宮、卵管、卵巣、子宮広間膜、腟上部(9/10)

腟は左側で切開し、後壁を腟部から分離して右側に反転させてある。右卵巣は縦に切開して展開してある。

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[図285]女性の骨盤内臓器:骨盤入口から見た図

子宮の固定装置 Halteapparat der Gebärmutter

子宮壁の各層 Die Schichten der Gebärmutterwand

子宮腔 Gebärmutterhöhle

子宮の脈管と神経 Blutgefäße und Nerven der Gebärmutter