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図287(卵管膨大部(横断))、288(子宮体の横断面)、289(子宮体粘膜)
子宮の壁は次の3層から構成されている:漿膜である子宮周膜(Perimetrium)、子宮筋層(Myometrium)、そして粘膜である子宮内膜(Endometrium)である。なお、粘膜下組織は存在しない。
Goerttler(Morph. Jhrb., 65. Bd., 1930)によると、子宮の筋線維はらせん状に走行しており、それらはすべて壁全体を外側から内側に貫き、左右の2方向から来るものが規則正しく交差している。
子宮の側縁に沿って、筋層と腹膜の両葉の間にある領域とその内容(主に血管、神経、および原腎管の遺残を含む結合組織)は子宮傍[結合]組織Parametriumと呼ばれる。
子宮体部の粘膜は平滑で柔らかい。子宮頸部の粘膜はそれより硬くて厚く、縦走する2つの隆起が特徴的である。これらの隆起の1つは前壁に、もう1つは後壁にあるが、互いに接触せず、わずかにずれて並行している。この隆起から(特に前壁の隆起から)整然と並んだ小さなひだや稜線が外側に伸び、シュロの葉のように広がっている。そのため、この粘膜構造全体を棕櫚状ヒダPlicae palmataeと呼んでいる(図290(腟、子宮、右卵管))。
粘膜の結合組織部分は粘膜固有層Lamina propria mucosaeと呼ばれ、細胞に富む細かい線維性の結合組織からなり、多数のリンパ球が存在する。粘膜を覆う上皮は単層の線毛上皮である(高さは平均30µ)。上皮は月経時に線毛を失うが、中間期には再び線毛が出現する(図286(子宮の上皮))。線毛の動きは腟方向に向かっている。上皮からは単純な形状またはフォーク状に分岐した管状腺が密集して固有層に侵入している。これを子宮腺Glandulae uterinaeという。子宮腺は互いに0.1〜0.2mm離れており、らせん状または軽く蛇行して伸びている。腺体は繊細な基底膜と単層の低い線毛円柱細胞からなる。子宮体部では腺はここで述べた形態を示している(図286(子宮の上皮))。
子宮頸部の粘膜はより厚く、子宮体部に近い部分では線毛上皮を有している(図286(子宮の上皮))。そこでは細胞の高さがおよそ60µである。腟に近い外子宮口に向かう部分は重層扁平上皮であり、その下に結合組織性の乳頭がある。上述の管状腺がわずかに存在するほか、子宮頸腺Glandulae cervicales uteriという粘液腺がここに存在する。
子宮頸腺では、ゼラチン様の分泌物が貯留して嚢胞を形成することがある。この嚢胞は粘膜内に埋没していたり、粘膜表面に突出していたりする。このようにしてキビ粒大からエンドウ豆大の大きさになる。これをナボット卵胞Ovula Nabothi, Nabothseierと呼んでいる。
[図286]子宮の上皮(17歳):頚管の上皮。少数の線毛細胞を含む。(Stieveによる)