(RK686(頭蓋底の静脈洞と眼窩の静脈)RK688(眼窩の静脈およびその周辺の静脈の連結(半模式図)) )

眼窩内の諸器官からの血液は、2本の太い静脈幹に集まる。太い方の幹は眼窩上部を走り、その経路は主に眼動脈の分枝と一致する。一方、細い方の幹は眼窩底近くを走る。これら2本の幹は眼窩後端で合流し、1本の太い静脈となって上眼窩裂を通過し、海綿静脈洞と結合する(RK688(眼窩の静脈およびその周辺の静脈の連結(半模式図)))。

a) 上眼静脈Vena ophthalmica superior:この静脈は眼球の上内側に始まり、後方で視神経の上を越えて外側に向かい、上眼窩裂を経て海綿静脈洞に達する(RK686(頭蓋底の静脈洞と眼窩の静脈))。

上眼静脈の幹は内眼角の静脈網から形成される。この静脈網は顔面の静脈、特に顔面静脈の起始部である眼角静脈と連続している。上眼静脈は以下の静脈を受け入れる: 鼻前頭静脈 V. nasofrontalis(前頭動脈と共に前頭切痕内に位置)、前節骨静脈、後節骨静脈 V. ethmoideae anterior et posterior(それぞれ同名の孔を通って節骨から出る)、涙腺静脈 V. lacrimalis(涙腺と眼窩外側部の諸筋からの血液を集める)、前頭静脈眼筋静脈 Vv. frontales, Vv. musculares(眼窩の内側部と上部の筋から来る)、渦静脈 Vv. vorticosae=大脈絡膜静脈 Vv. chorioideae majores、小脈絡膜静脈 Vv. chorioideae minores(眼球中膜から来る)、毛様体静脈 Vv. ciliares(感覚器参照)、網膜中心静脈 Vena centralis retinae、強膜上静脈 Venae episclerales(強膜表面から来る)、眼瞼静脈 Venae palpebrales、結膜静脈 Vv. conjunctivales。

b) 下眼静脈 Vena ophthalmica inferior:これは眼窩底の外側部に位置し、下直筋と外側直筋の間を走行する(RK688(眼窩の静脈およびその周辺の静脈の連結(半模式図)))。

この静脈は複数の毛様体静脈、涙腺静脈、眼筋静脈を受け入れ、下眼窩裂を通じて深顔面静脈と太い吻合を形成することが多い。

このように下眼静脈は翼突筋静脈叢と結合している。また、この静脈の後端は上眼静脈の幹あるいは海綿静脈洞に開口する。

https://funatoya.com/funatoka/anatomy/Rauber-Kopsch/band1/png100/688.png

[図688] 眼窩の静脈およびその周辺の静脈の連結(半模式図)(2/3)

a 視神経;b 上斜筋;c 涙腺;d 下眼球斜筋;e 正円管;f 上顎洞;I 共通幹;1 前頭枝;2 下眼静脈;3 眼筋静脈と涙腺静脈;4 上眼静脈と前後の篩骨静脈;5 鼻前頭静脈;[6 眼窩下枝];II 顔面静脈;[7 深顔面静脈];8,8 外鼻静脈;9 眼角静脈;10 前頭静脈と眼角静脈の吻合;III 下顎後静脈;IV 側頭静脈;[V 顎静脈];11 中硬膜静脈;[12 下顎静脈];13 咀嚼筋静脈;14 吻合;15 翼口蓋窩