https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
前眼房と水様液
眼球後方部のリンパ路
1.眼球の前方部には前眼房Camera oculi anteriorがあり、また角膜と強膜の接する部分には液細管Saftkandilchenが存在する。
前眼房は水様液Humor aqueus, Kammerwasser(眼房水)と呼ばれる水のような透明な液体で満たされている。この液体には微量の蛋白質、糖、および少数の白血球が含まれており、その量は0.2~0.3gである。前眼房は毛細管のように狭い虹彩水晶体間隙Iris-Linsenspalteを通じて後眼房につながり、後眼房はさらに小帯隙Spatium apparatus suspensoriiへと続いている。
水様液は後眼房において毛様体と虹彩の脈管から産生される。そこから前眼房へ流れ、さらに虹彩角膜角海綿質Spongium anguli iridocornealisの隙間を通って強膜静脈洞Sinus venosus scleraeを経て毛様体静脈Vv. ciliaresに入る。角膜への液体の流出はほとんどないか、あったとしてもごくわずかである。角膜の栄養は水様液からではなく、角膜を輪状に取り巻く角膜辺縁係蹄網Randschlingennetz der Hornhautから供給される。なお、角膜のリンパ路についてはa) 角膜 Cornea, Hornhaut に記した。
2.眼球の後方部には視神経・網膜・硝子体のリンパ路と脈絡外隙のリンパ路がある。
視神経のリンパ路についてはすでに3. 視束 Fasciculus opticusで述べた。網膜のリンパ路は一部が血管の周囲を取り巻いており、これは豊富に存在する。また、一部は視神経から続く神経線維束に伴っている。
強膜と脈絡膜の間によく発達している間隙系、すなわち脈絡外隙Spatium perichorioideum(b) 強膜 Sclera, Sklera)は脈絡膜で生成されるリンパを集める。ここから流れ出るリンパの一部は渦静脈の周囲を包むリンパ管を通ってまず眼球周囲隙Spatium circumbulbareに注ぎ、これがさらに鞘上隙supravaginaler Raumへと続いている。流出路の一部は脈絡膜動脈に伴ってより短い経路をとり、これもまた眼球周囲隙に至る。またリンパの一部は視神経管のところで視神経の鞘間隙を通っている。