https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html

目次(IV. 内臓学)

funalogo.gif


喉頭は頚の前上部で第3から第6頚椎の高さに位置し、男性では正中部に喉頭隆起(Prominentia laryngica)という突出部がある。これは俗に「アダムのリンゴ」(Adamsapfel)と呼ばれる。

喉頭の上部は三角錐形、下部は円柱形に近い形状で気管に連続している。

喉頭は複数の軟骨からなる骨組みを持ち、これらは靱帯によって可動的に連結されている。さらに、筋肉が存在し、軟骨を相互に動かすことで各部の形状や緊張度を変化させる。喉頭腔は粘膜で覆われ、この粘膜は咽頭の粘膜に連続し、2対のひだを形成する。下方のひだである声帯ヒダが音声生成に直接関与する。発声器官としての喉頭の機能は、呼吸に関与するために必要な構造をはるかに超える複雑さを持っている。

**局所解剖:**喉頭の後方には咽頭の喉頭部、両側には総頚動脈がある。甲状腺の左右両葉は喉頭の両側面で喉頭と総頚動脈の間に伸び、時に喉頭の上縁にまで達する。前方は舌骨下筋群および浅頚筋膜と中頚筋膜で覆われているが、中央部は筋で覆われていない。上方は舌骨と舌に接している(図076(舌および咽頭の筋(I))図077(舌と咽頭の筋肉(II))図084(顔面頭蓋、咽頭、喉頭の正中面やや外側での矢状断)図086(咽頭と口蓋の諸筋および耳管))。

076.png

図076(舌および咽頭の筋(I))

077.png

図077(舌と咽頭の筋肉(II))

084.png

図084(顔面頭蓋、咽頭、喉頭の正中面やや外側での矢状断)

086.png

図086(咽頭と口蓋の諸筋および耳管)

**骨格との関係:**喉頭は頚椎の前方、第3頚椎体の上縁から第6頚椎体の下縁までの間に位置する。女性と子供ではより上方に、高齢者ではより下方に位置する傾向がある。

年齢による変化:喉頭は生後3年目までに著しく成長する。その後、性的成熟期まで男女ともゆっくりと成長が続く。性的成熟期に入ると成長が急速になり、1年間で男性の喉頭の声門の長さは以前の2倍に、女性では1.5倍になる。

**男女差:**成人男性の喉頭は前方の高さが7cm、最大幅4cm、甲状軟骨下縁での深さ(前後径)3cmである。女性の喉頭はそれぞれ4.8cm、3.5cm、2.4cmである。声門裂の長さは男性で平均2.5cm、女性で1.5cmである(Luschka)。(日本人の場合、喉頭の高さは平均で男性4.1cm、女性3.3cm、声門裂の長さは男性2.0cm、女性1.5cmである[尾関才吉、東京医会誌25巻17号、1911]。)

人種差はわずかながら観察される。詳細については、Grabert, Z. Morph. Anthrop., 1913;Waldeyer, A., 同誌, 26. Bd., 1926を参照のこと。

a) 喉頭の骨組み Das Kehlkopfgerüst

b) 喉頭筋 Musculi laryngis

c) 喉頭粘膜 Tunica mucosa laryngis

d) 喉頭の脈管と神経 Blutgefäße und Nerven des Kehlkopfs

e) 喉頭腔 Cavum laryngis, Kehlkopfhöhle