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片山正輝

目次(V. 神経系)

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(日本人の小脳の大きさ:最大横径(両外側角間の距離)は平均9.88cm、前後径は虫部において平均3.6cm、前縁と後縁との中間点間の距離は平均左4.97cm・右4.95cm、背腹径は虫部で平均3.51cm、半球前部で平均左4.82cm・右4.83cm、半球後部ではそれぞれ3.91cm・3.87cm、重さは平均男134.7g・女122.2g、容積は平均男128.6cc・女117.0ccである。(小川鼎三、細川宏:日本人の脳、23~26,165~166,1953))

小脳は横臥した楕円体が鉛直方向に押しつぶされた形をしている。その長軸(9~11cm)は左右に、短軸(4~6cm)は前後に向き、その厚さの軸(約3cm)は上下方向にある(図408(脳の正中断面)図409(脳底)図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの)図417(脳底の図)図418(第三脳室、大脳基底核と脳幹の一部、四丘体、小脳の上面)図426(小脳:下面からの視点)図427(小脳:前下方からの視点) )。

位置:小脳は延髄を覆い、両側に強く突出して、後頭鱗の小脳後頭窩をほぼ完全に満たしている。上方は小脳天幕(Tentorium cerebelli)に接し、小脳扁桃は時として大後頭孔内にまで入り込んでいる。

小脳の重さは、男女でほぼ同じで、120~150gである。

小脳には上面(Facies superior)と下面(Facies inferior)、前縁と後縁とを区別する。その前縁には前小脳切痕(Incisura cerebelli anterior)があり、後縁にはそれより深い後小脳切痕(Incisura cerebelli posterior)が切れ込んでいる(図418(第三脳室、大脳基底核と脳幹の一部、四丘体、小脳の上面) )。

前後の小脳切痕間にある小脳の中央部(Mittelteil)は、多数の横走する溝があって環形動物を想起させるため、虫部(Vermis, Wurm)と呼ばれる。背方では上虫(Oberwurm)が2本の浅い溝によって、腹方では下虫(Unterwurm)が2本の深い溝によって、小脳の外側塊、すなわち左右の小脳半球(Hemisphaeria cerebelli)(図426(小脳:下面からの視点)図427(小脳:前下方からの視点) )から区別されている。

小脳の両面は円く膨らんでおり、特に下面がより強く膨隆している。しかし下面全体の膨らみは1つの深い陥凹部によって中断され、この部分は後方で後小脳切痕に移行している。この陥凹部は小脳谷(Vallecula cerebelli, Tal)と呼ばれ、その底には下虫がある。

小脳は多数の小脳溝(Sulci cerebelli)という切れ込みによって多くの幅の狭い回転、すなわち小脳回(Gyri cerebelli)に分かれている。

一つの小脳回は平均2~3mmの幅を持つ。その間の溝は2~27mmの深さだが、ある箇所では溝が非常に浅く、その存在がかろうじて認められる程度である。

a) 小脳半球の小葉 Läppchen der Kleinhirnhemisphären

b) 虫部 Vermis, Wurm

c) 小脳の髄体 Corpus medullare cerebelli

d) 小脳の髄質の柄,すなわち小脳脚 Die Stiele der Kleinhirnmarksubstanz, also die Kleinhirnstiele

e) 小脳の灰白質核 Die grauen Kerne des Kleinhirns

f) 前と後の髄帆 Vorderes und hinteres Marksegel