小脳 Cerebellum
基本的特徴
- 小脳は、脳後部に位置し、運動調節・協調とバランス維持を担う重要な器官である。
- 左右の小脳半球と中央の虫部で構成され、その表面には、小脳溝と小脳回が存在する。
- 横臥した楕円体形で、長軸9~11cm、短軸4~6cm、厚さ約3cmの大きさを有する。
解剖学的構造
- 小脳皮質は、分子層、プルキンエ細胞層、顆粒層の3層構造を有する。
- 3対の動脈(上小脳動脈、前下小脳動脈、後下小脳動脈)により、血液供給を受ける。
機能と発達
- 運動の協調・調節、平衡維持、運動学習の機能を担う。
- 後脳の菱脳唇から発生し、胎児期2か月目後半から急速に発達する。
- 発生学的には、原小脳、古小脳、新小脳の3区分に分類される。
臨床的意義
- 小脳障害は、運動失調、平衡障害、筋緊張低下などの症状を引き起こす。
- 小脳性運動失調は、歩行障害、協調運動障害、眼振などの特徴的な症状を示す。
- 診断には、神経学的検査、画像診断(MRI、CT)が重要である。
小脳の区分
- 縦方向の区分:前葉、後葉、片葉小節葉に分かれる。
- 横方向の区分:正中部(虫部)と両側の小脳半球で構成される。
- 機能的区分:前庭小脳、脊髄小脳、大脳小脳の3つの機能的領域がある。