化学的および物理的組成:細胞体は原形質からなる。
原形質(Protoplasma)あるいは細胞形質(Cytoplasma)は、化学的に単一な物質の名称ではなく、一つの形態学的概念である。それは複数の蛋白質(特にプラスチン、グロブリン、アルブモーゼ、アルブミン)、多量の水分、および数種の塩基から構成される。さらに、同化性および異化性の物質代謝産物が加わる。反応はアルカリ性で、均一かつ粘性の液体のような性質を持つ。水によって膨潤し、熱で凝固する。
構造:原形質の重要な問題は、その各成分が細胞内で単に溶液として存在し、密に混合しているのか、それとも特別な構造を持つのかということである。構造の種類については意見が分かれており、海綿様構造説(Fromman, Schmitz, Leydig)、蜂巣状構造説(Bütschli)、細い糸状構造とその間質説(Flemming)などがある。
これら3つの学説に加え、Altmannの独特な顆粒説がある。研究の困難さから、どの説が正しいかを決定するのは非常に難しい。しかし、蜂巣説が徐々に支持を得つつあり、生理化学的事実がこの説に適合することがその一因である。
Bütschliによれば、原形質の構造は泡状(schaumig)で、蜂の巣を想起させるという。しかし、この説は原形質の構造に関する問題の一部しか説明していない。蜂の巣の壁を形成する索や板の構造についての疑問が残る。この超微細構造(Ultrastruktur)は比較的最近になって研究が進められてきた(Bargmannの著書『Lehrbuch der Histologie, Bd. I』を参照)。
顆粒は原形質内の構造として常に観察される。これは生細胞において(Ehrlich, Arnold, Fischel)メチレンブルー、ニュートラルレッドなど多くの生体染色用色素で可視化できる。顆粒にも様々な種類があり、総称して微小粒体(Mikrosomen)、より適切には形質粒体(Plasmosomen)と呼ばれる。
生体染色で現れる顆粒と区別すべきものに、固定剤によるアルブモーゼの沈殿で人工的に生じる顆粒がある(A. Fischer, Fixierung usw. des Protoplasmas. Jena, 1899)。Altmannが記述した顆粒の一部は生細胞には存在せず、顕微鏡観察のための固定処理時に人工的に形成されたものであることが確認されている。
微小粒体が連なって糸状を呈する構造を最初に記載したのはBrunn(1884年)とLa Valette St. George(1886年)で、後にミトコンドリア(糸粒体)(Mitochondrien)あるいはChondriosomenと命名された。これは成体および胎児の多くの細胞で確認されている(Duesbergの文献参照)。Mevesは適切な方法で強く染色されるが個々の顆粒が不明瞭な糸状・棒状構造を粒杆体(Chondriokonten、κοντός:棒の意)と名付けた(1907年)。後にMevesはこれらの構造物を細胞特有の重要成分とみなし、原形質の遺伝を担うものとして形成顆粒(Plastosomen)と命名。その顆粒状のものをPlastokonten(形成杆体)と呼んだ。以前のChondriokontenやChondriosomenという名称は使用を中止した。Mevesは次のように述べている(Meves, Arch. mikr. Anat., 85. Bd., 1914, S. 298):「形成粒体は独特な性質を持つ顆粒または糸状構造で、生細胞内で多数観察できる。
それは胎児のすべての細胞に存在し、成体でも多くの細胞で確認される」。
Duesberg, J., Merlel und Bonnet, Ergebnisse, 20. Bd. 1912. ― Meves, Arch. mikr. Anat., 94. Bd., 1920.
細胞体の特殊な器官としては、1. 中心小体とその周囲の中心球、2. 内網装置、3. 分泌細管および分泌液胞がある。
[図4]形成杆体(Plastokonten):孵化後27時間(8対の原節を有する)のニワトリ胚の神経管(Medullarrohr)における外胚葉細胞群。
[図5]形成粒体(Plastochondrien):1個の内胚葉細胞内の様子。
1. 中心球(Zentrosphäre)と中心小体(Zentralkörperchen)