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目次(III. 脈管系)

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外頚動脈は主に顔面および頭蓋壁に分布する。若年者では内頚動脈より細いが、成人ではほぼ同じ太さである。外頚動脈は甲状軟骨の上縁で総頚動脈から分岐し、下顎頚の高さに達する。そこで2本の終枝である浅側頭動脈(A. temporalis superficialis)と顎動脈(A. maxillaris)に分かれる。上方に向かう過程で多くの枝を出すため、その直径は著しく細くなる。

外頚動脈は9本の枝を出す。起始の順序に従って列挙すると、上甲状腺動脈(A. thyreoidea cranialis)、上行咽頭動脈(A. pharyngica ascendens)、舌動脈(A. lingualis)、顔面動脈(A. facialis)、胸鎖乳突筋動脈(A. sternocleidomastoidea)、後頭動脈(A. occipitalis)、後耳介動脈(A. retroauricularis)、顎動脈(A. maxillaris)、浅側頭動脈(A. temporalis superficialis)である。

**局所解剖:**起始部付近では、発生過程に基づき、外頚動脈は内頚動脈より内側に位置する。しかし、すぐに表面に近づくとともに外側に向かい、下顎後部に至る。

その起始部は通常、胸鎖乳突筋の前縁に覆われているが、すぐに内側に出て頚動脈三角に至り、中頚筋膜と広頚筋に覆われる。さらに上方では茎突舌骨筋と顎二腹筋の後腹がその外方に重なり、続いてこの動脈は耳下腺の下顎後突起に入る。耳下腺の実質の一部が外頚動脈を下顎枝から隔てている。外頚動脈と内頚動脈の間には茎状突起、茎突咽頭筋、および茎突舌筋がある。

顎二腹筋のすぐそばで、舌骨の上を弓状に走る舌下神経が外頚動脈の外側を通り、これと交差する(RK639(体幹上半の動脈(I):浅層の諸枝) )。同様に、外頚動脈の上端付近では、顔面神経が耳下腺内でこれと交差している。茎突咽頭筋に沿って走る舌咽神経は外頚動脈と内頚動脈の間にある。上喉頭神経は内外の頚動脈の後方に位置する。

頭部表層に分布する動脈の神経は交感神経、三叉神経、顔面神経、大後頭神経、大耳介神経に由来する。

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RK639(体幹上半の動脈(I):浅層の諸枝)

**変異:**起始の変異については既に総頚動脈の項で述べた。多数の枝が時折、起始部付近あるいはより上方の一箇所で同時に出ることがある。または、幹の全長にわたって等間隔に分岐することもある。枝の起始が他の動脈に移動していたり、複数の枝が短い共通幹を形成したりすることで、通常より枝の数が少なくなることがある。また、枝の数が増加することもある。例えば、通常は枝からさらに分岐するものが幹から直接出ていたり、他の幹から出るはずの血管が外頚動脈から出ている場合がある。極めてまれに、外頚動脈の位置が顎二腹筋と茎突舌骨筋の外側になることがある(E. Pisk, Anat. Anz., 45. Bd., 1914)。

外頚動脈の枝は次のように分類される:

  1. 前方のもの:上甲状腺動脈、舌動脈、顔面動脈
  2. 後方のもの:胸鎖乳突筋動脈、後頭動脈、後耳介動脈
  3. 内側のもの:上行咽頭動脈
  4. 終枝:浅側頭動脈、顎動脈

1. 上甲状腺動脈 A. thyreoidea cranialis

2. 舌動脈 Arteria lingualis

3. 顔面動脈 A. facialis