https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
上甲状腺動脈は、舌骨の大角に近接した下方で、総頚動脈から分岐したばかりの外頚動脈から出ている。
外頚動脈を出た後、前下方に湾曲し、舌骨下筋群に沿って枝を与えながら上昇し、甲状腺に至る。この腺内で分枝し、下甲状腺動脈と吻合している。
その経路で次の枝を出す:
a) 舌骨枝 R. hyoideus:内側に進む小枝で、舌骨付近の軟部組織に枝を与え、反対側の同名動脈と吻合することがある。
b) 胸鎖乳突筋枝 R. sternocleidomastoideus:同名の筋に至る。
c) 上喉頭動脈 A. laryngica cranialis:この動脈は上喉頭神経とともに下降し、多くは舌骨甲状膜を貫くが、喉頭に入る前に甲状舌骨筋に覆われる。喉頭内では筋と粘膜に枝を与える。上喉頭動脈は多数の筋枝を出し(その数は個体差がある)、これらの枝は舌骨下筋群、喉頭筋、および咽頭喉頭筋に分布する。
d) 輪状甲状筋枝 R. cricothyreoideus:小さいが、その位置から重要な枝で、同名筋に至る。これは輪状甲状靱帯の上で、しばしば反対側の動脈や舌骨枝の下行枝と弓状に吻合し、喉頭の内壁に枝を出す。
e) 甲状腺への枝(これは終動脈である)。
変異:上甲状腺動脈が時に非常に発達し、反対側の同名動脈や下甲状腺動脈の機能を代償することがある。また、非常に細くなり、筋枝と上喉頭動脈のみになることもある。その起始が総頚動脈に移動したり、舌動脈と共同で出たり、または舌動脈と顔面動脈と共通幹を持つこともある。2本の上甲状腺動脈が1側の外頚動脈から出ることも多い。上喉頭動脈が時に外頚動脈から直接出ることがあり、これはヨーロッパ人では13.4%に見られるが、日本人ではわずか4.2%にすぎない(Adachi)。まれに総頚動脈から出ることもある。また、甲状軟骨の甲状孔 Foramen thyreoideum を経て喉頭に入ることもしばしばある。上甲状腺動脈の幹がしばしば前枝 Ramus ventralis と後枝 Ramus dorsalis に分かれ、それぞれ甲状腺の前部と後部に分布している。