


J1051 (前庭と半規管は、浸軟化された骨から外側に開く)


J1056 (右側の側頭骨を垂直に切断し、外側の切断面を内側からの図)

位置と形状
内耳の前庭は、側頭骨岩様部に位置する骨迷路の中央部分を構成する重要な解剖学的構造です (Gray and Williams, 2020)。大きさは約5×3×3mmの卵円形の腔で、前方は蝸牛と、後方は半規管と連絡しています (Standring et al., 2015)。
膜迷路の構成要素
前庭内には卵形嚢(utricle)と球形嚢(saccule)が存在し、これらは前庭内の膜迷路の一部を形成します (Khan and Chang, 2018)。
感覚受容器
卵形嚢の平衡斑(macula utriculi)と球形嚢の平衡斑(macula sacculi)には、有毛細胞が存在し、これらが頭部の直線加速度と重力を感知する受容器として機能します (Pujol et al., 2019)。
神経支配
前庭神経(vestibular nerve)の上前庭神経と下前庭神経の末端が、これらの受容器に接続しています (Rahul et al., 2017)。
内耳液の組成
前庭は内リンパ(endolymph)と外リンパ(perilymph)という2種類の液体で満たされており、それぞれ異なる電解質組成を持っています (Ekdale, 2016)。
平衡機能における役割
前庭は前庭迷路系の主要部分として、身体の平衡維持と空間定位に不可欠です (Curthoys and Halmagyi, 2018)。
前庭疾患の病態
メニエール病、良性発作性頭位めまい症(BPPV)、前庭神経炎などの疾患では、この領域の障害により回転性めまい、平衡障害、吐き気などの症状が現れます (Strupp and Brandt, 2022)。特にBPPVでは、耳石器官から遊離した耳石が半規管に迷入することで特徴的な体位性めまいを引き起こします (Bhattacharyya et al., 2017)。
外科的重要性
内耳の手術(例:人工内耳埋込術)においては、蝸牛窓や正円窓を通じてアプローチする際に前庭の解剖学的位置関係が重要な指標となります (Roland and Waltzman, 2019)。