横隔神経

横隔神経は第3~5頚神経から出て、頚神経叢を形成し、主に第4頚神経から起こります。頚部では前斜角筋の前面に沿って、胸腔内では縦隔胸膜と心膜の間を通り、それぞれ走行します。横隔膜にいたる運動神経で、壁側縦隔胸膜、心膜、横隔胸膜、腹膜に知覚神経を送り(心臓枝)、腹腔神経叢からの枝と交通します(横隔腹枝)。横隔膜の収縮をコントロールして、呼吸に不可欠です。時に、鎖骨下筋神経または腕神経叢の他の神経から小枝が出ることがあり、第1肋骨付近の高さで横隔神経に合流することがあります。これを副横隔神経と呼びます。

日本人のからだ(松村博雄 2000)によると

肺結核の治療法の一つとして、一時期、横隔神経切断術が行われ、その際に多くの研究が行われました(Yano, 1925, 1928; 河合・川名, 1931; 栗原,1943)。主な起源はC4-5で、他にもC3などがあります。頚部脊髄神経から直接起始するのは非常に稀で、C5成分の参加は約48%の例に見られ、約30%の例ではC3成分の参加がないと考えられます。経過については、大半が前斜角筋の前面を外上方から内下方に向かって斜めに横切り、外縁に沿ってさらに外側に移動します。そして、鎖骨下動脈の前、鎖骨下静脈の後、つまり両者の間を通り抜け、胸郭上口から胸郭内に入ります。このとき、内胸動脈の前方を通るものが大半です。頚部経過中に、交感神経幹や交感神経節との交通が観察されます(Yano, 1928)。また、甲状頚動脈の各枝と周囲の交感神経叢とを結ぶ細枝も存在します。