前脛骨動脈 Arteria tibialis anterior

J0601 (右下腿の動脈:背側からの図)

J0602 (右下肢の動脈:前方からの図)

J0603 (右足背の動脈)

J0969 (右下腿の深部神経、前外側からの図)
前脛骨動脈は、下肢の主要な動脈の一つで、下腿前区画の主要血管として、その解剖学的特徴と臨床的意義は以下の通りです(Gray and Lewis, 2020; Moore et al., 2018):
解剖学的特徴
- 起始部:膝窩動脈の終末枝として、膝窩筋の下縁(脛骨後面上部)で分岐します(Standring, 2021)。
- 走行経路:下腿骨間膜の上部を前方に貫通した後、骨間膜の前面に沿って下行します(Netter, 2019)。
- 位置関係:下腿上部では脛骨と腓骨の間の骨間膜上を下行し、下腿中部・下部では脛骨前面に接して走行します(Drake et al., 2019)。
- 伴行構造:深腓骨神経と伴行し、前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋の間を走行します(Schuenke et al., 2020)。
- 終末部:足関節の前面で足背動脈(Arteria dorsalis pedis)として連続し、第1・2中足骨間を通り足底へ至ります(Paulsen and Waschke, 2018)。
主要分枝
- 前脛骨反回動脈(A. recurrens tibialis anterior):膝関節周囲の側副血行路を形成します(Netter, 2019)。
- 後脛骨反回動脈(A. recurrens tibialis posterior):膝関節後方の血行に寄与します(Standring, 2021)。
- 筋枝(Rami musculares):前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋などの前区画筋群を栄養します(Moore et al., 2018)。
- 足関節前内側枝と前外側枝(R. malleolaris anterior medialis et lateralis):足関節周囲の動脈網に参加します(Gray and Lewis, 2020)。
解剖学的変異
- 発生頻度が高い変異:前脛骨動脈が低形成(4.3%)または欠損(1.5%)する例があります(Kim et al., 2015)。
- 終末形態の変異:下腿筋枝として終わり足まで到達しない例が一定頻度(0.9%〜6.6%)で認められます(Day and Ahn, 2018)。
- 代償路:前脛骨動脈が欠如または細小化した場合、腓骨動脈貫通枝が足背動脈へ連続して血流を補います(Yamada et al., 2017)。
- 高位分岐:膝窩動脈から通常より高位で分岐し、前方経路で下行する変異(約2%)があります(Kil and Jung, 2019)。
臨床的意義