上肢の動脈 Arteriae membri superioris

J0574 (右腋窩の動脈、正面図)

J0575 (右肩甲骨の動脈:背面図)

J0576 (右上腕の動脈、手掌側からの図)

J0577 (右上腕の動脈、背面からの図)

J0578 (右前腕第1層の動脈、手掌側図)

J0579 (右前腕第2層の動脈:手掌側図)

J0580 (右前腕の動脈:背面図)

J0581 (右手背の動脈)

J0582 (右手掌表層の動脈)

J0583 (右手掌深層の動脈)
上肢の動脈は、鎖骨下動脈から腋窩動脈、上腕動脈へと連続し、肘で橈骨動脈と尺骨動脈に分岐して手へ供給される。主要分枝は頭頚部や胸壁への血流を担い、腋窩動脈は3部に分かれて多数の枝を出す。上腕動脈は深上腕動脈や橈骨・尺骨動脈に分岐し、前腕・手部で掌動脈弓を形成する。臨床的には解剖変異や側副血行の評価(Allen test)などが重要で、診察・画像・介入の各段階で血管の位置関係と機能を把握する必要がある。
1. 概観:主幹の連続性と命名
- **鎖骨下動脈(subclavian artery)→腋窩動脈(axillary artery)→上腕動脈(brachial artery)**は、同一主幹の連続だが、走行部位(第1肋骨外側縁、腋窩、上腕)を境に名称が変わる(Standring, 2021)。
- 上腕動脈は肘窩(fossa cubitalis)で 橈骨動脈(radial artery) と 尺骨動脈(ulnar artery) に分岐し、手部では**浅掌動脈弓/深掌動脈弓(superficial/deep palmar arch)**を形成して手指へ血流を分配する(Moore et al., 2023)。
- 近位側では鎖骨下動脈から 椎骨動脈・内胸動脈・甲状頚動脈・肋頚動脈などが分岐し、頭頚部・胸郭上部への血流の比重が大きい(Standring, 2021)。上肢に「直接」入るのは、主幹が腋窩へ連続して以降である。
2. 鎖骨下動脈 Subclavian artery:上肢への入口
2.1 区分(前斜角筋との関係)
- 鎖骨下動脈は前斜角筋(scalenus anterior)を基準に **第1部(内側)/第2部(後方)/第3部(外側)**に区分される(Standring, 2021)。
- 腕神経叢(brachial plexus)は一般に鎖骨下動脈の外側・後方に位置し、神経・血管の位置関係は**斜角筋隙(interscalene triangle)**や鎖骨上窩で臨床的に重要となる(Moore et al., 2023)。
2.2 主要分枝(頭頚部・胸壁への供給)
- 椎骨動脈(vertebral artery):脳底動脈系の主幹(Standring, 2021)。
- 内胸動脈(internal thoracic artery):前胸壁・乳房、冠動脈バイパス(CABG)グラフトとして重要(Standring, 2021)。
- 甲状頚動脈(thyrocervical trunk):下甲状腺動脈・頚横動脈・肩甲上動脈などを介して頚部・肩甲帯へ(Standring, 2021)。
- 肋頚動脈(costocervical trunk):最上肋間動脈など(Standring, 2021)。
3. 腋窩動脈 Axillary artery:腋窩での分枝パターン
3.1 範囲と層構造
- 腋窩動脈は第1肋骨外側縁から大円筋(teres major)下縁までを走り、ここで上腕動脈に移行する(Standring, 2021)。
- 腋窩動脈は腋窩静脈と腕神経叢索(cords)に囲まれ、外科的・麻酔的には腋窩部の神経血管束の立体配置を把握することが必須である(Moore et al., 2023)。