下陥凹(網嚢の)Recessus inferior (Bursa omentalis)

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J0716 (脾臓と腹膜:前方から少し右側からの図)

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J0719 (腸間膜の屈曲:前方から見た図)

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J0721 (小網:前方からの図)

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J0722 (網嚢:前から開けられた図)

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J0727 (男性の正中矢状断での腹膜の経過:赤色、やや模式的に示している)

解剖学的特徴

網嚢の下陥凹は、胃と横行結腸の間に位置する腹膜の一部で、網嚢の下方への膨出部を指します。解剖学的には、大網の前葉と後葉の間に形成される空間で、通常は胃の大彎から下方に伸び、横行結腸の上縁まで達します(Gray et al., 2020)。

発生学

この構造は発生学的に胚発生期の腹腔の形成過程で生じ、胃の回転と大網の発達に伴って形成されます。網嚢全体は、腹腔内で二次的に形成される腔所で、前壁は胃と小網、後壁は後腹膜と膵臓で構成されています(Sadler, 2019)。

臨床的意義

臨床的意義としては、下陥凹は腹腔内感染の波及経路となり得る空間であり、特に急性膵炎や胃穿孔の際には膿瘍形成の場となることがあります(Kumar and Clark, 2022)。また、腹部CT検査やMRI検査では、この領域の液体貯留が病的状態を示唆することがあるため、画像診断上重要な解剖学的指標となっています(Federle et al., 2021)。外科的には、胃切除や膵臓手術の際に、この領域の解剖を理解することが合併症予防に不可欠です(Cameron and Cameron, 2020)。

参考文献

東洋医学との関連性