肝十二指腸間膜 Ligamentum hepatoduodenale

肝十二指腸間膜は、肝臓の門脈域と十二指腸上部をつなぐ二重の腹膜からなる短い靭帯です。小網(lesser omentum)の右端が特に厚くなった部分であり、肝門部から十二指腸上部に至る約2〜3cmの構造です(Skandalakis et al., 2009)。発生学的には腹側腸間膜の一部で、胃の背側への回転に伴い形成されます(Sadler, 2018)。

解剖学的構造

この間膜の内部には3つの重要な構造物が含まれており、これらは「門脈三要素」として知られています(Gray and Standring, 2021):

  1. 総胆管(common bile duct):前方右側に位置
  2. 固有肝動脈(proper hepatic artery):前方左側に位置
  3. 門脈(portal vein):後方に位置

また、肝神経叢の枝、リンパ管、リンパ節も含まれています(Sibulesky and Nguyen, 2020)。このように重要な構造物が密集しているため、外科的に非常に重要な領域です。

臨床的意義

肝十二指腸間膜は複数の臨床場面で重要性を持ちます(Hiatt and Gabbay, 2009):

参考文献