



喉頭口は、咽頭と喉頭腔を結ぶ解剖学的開口部であり、呼吸・発声・嚥下に重要な役割を果たします(Standring, 2021)。この構造は気道保護のメカニズムにおいて中心的な役割を担い、嚥下反射時には喉頭蓋による閉鎖が行われます(Matsuo and Palmer, 2008)。
喉頭口は、以下の構造によって境界されています(Moore et al., 2018; Netter, 2019):
喉頭口は前後に細長い楕円形状を呈し、成人では約4〜5cm(前後径)×2〜3cm(左右径)の大きさです(Netter, 2019)。この形状は年齢、性別、個体差により変動し、新生児では相対的に高位に位置します(Moore et al., 2018)。喉頭口の形態は発声時と安静時で変化し、特に高音発声時には前後径が短縮します(Titze, 2000)。
喉頭口の粘膜は、非角化重層扁平上皮と線毛円柱上皮の移行部になっています。この移行は喉頭蓋の喉頭面付近で起こり、気道の保護機能と粘液クリアランスの両方に適応した構造です(Ross and Pawlina, 2020)。粘膜下には、多数の小唾液腺(喉頭腺、laryngeal glands)と弾性線維に富んだ結合組織が分布しており、粘膜の潤滑と柔軟性を保持しています(Junqueira and Carneiro, 2018)。披裂喉頭蓋ヒダには味蕾が散在し、誤嚥防止の感覚受容に関与する可能性が示唆されています(Bradley, 2000)。
喉頭口は、以下の臨床的重要性を持ちます(Bailey et al., 2019; Rosen et al., 2022):
内視鏡検査(喉頭ファイバースコープ検査)や間接喉頭鏡検査では、喉頭口とその周囲構造の詳細な観察が可能で、炎症性疾患(喉頭炎、喉頭蓋炎)、腫瘍性病変(喉頭癌、乳頭腫)、機能的異常(声帯麻痺)の診断に役立ちます(Rosen et al., 2022)。近年では狭帯域光観察(NBI)や自家蛍光内視鏡などの技術により、早期病変の検出率が向上しています(Arens et al., 2016)。
喉頭口は胎生4〜5週頃に鰓弓から発生し始めます。第4および第6鰓弓から喉頭の軟骨および筋が形成され、喉頭口もこの時期に原始的な形態が確立します(Sadler, 2019)。前腸の腹側壁から生じる喉頭気管溝(laryngotracheal groove)が深化し、気管食道中隔により食道と分離される過程で喉頭入口部が形成されます(Moore et al., 2020)。喉頭蓋は舌根部の舌下肥厚(hypobranchial eminence)から発生し、胎生5〜6週に認識可能となります(Larsen, 2001)。発生異常として喉頭閉鎖症(laryngeal atresia)や喉頭裂(laryngeal cleft)が知られています(Hartnick and Cotton, 2008)。