左葉(肝臓の)Lobus hepatis sinister

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J0708 (腹膜の折り返し部分と肝臓:前方からの図)

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J0709 (腹膜の折り返し部分と肝臓:上方からの図)

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J0717 (腹部内臓:前方からの図)

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J0718 (小腸:正面からの図)

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J0720 (大腸と腸間膜の根:前方からの図)

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J0723 (肝臓を引き上げたときの網嚢への入口)

解剖学的特徴

左葉は、肝臓の2つの主要葉のうち左側に位置する葉です。その右境界は、下大静脈と胆嚢底を結ぶ線(Cantlie線)に一致します(Bismuth, 1982)。解剖学的には、左葉は内側区域(第IV区域、Segment IV)と外側区域(第II、III区域、Segments II and III)に分けられます(Couinaud, 1957)。左葉は横隔膜の下面に接し、胃の小弯と前面を覆っています(Skandalakis et al., 2004)。左葉の形状は個体差があり、慢性肝疾患では萎縮や肥大を示すことがあります(Sherlock and Dooley, 2002)。

血液供給と排出

左葉への動脈血供給は主に左肝動脈(left hepatic artery)から得られ、門脈左枝(left portal vein)からの門脈血も受けています(Couinaud, 1957; Michels, 1966)。静脈還流は左肝静脈(left hepatic vein)を通じて下大静脈へと流れます(Nakamura and Tsuzuki, 1981)。胆汁排出は左肝管(left hepatic duct)を経由して総肝管(common hepatic duct)へと排出されます(Strasberg, 2005)。リンパ排液は肝門部リンパ節を経由します(Shimada et al., 1997)。

臨床的意義

左葉は肝臓切除術、特に左葉切除術(left hepatectomy)や左葉外側区域切除術(left lateral sectionectomy)の際に重要な対象となります(Fan et al., 1999; Makuuchi et al., 2002)。また、肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)や転移性肝腫瘍の標的部位となることも多く、肝生検の一般的な部位でもあります(Bruix and Sherman, 2011; European Association for the Study of the Liver, 2018)。B型肝炎やC型肝炎による慢性肝障害では、左葉の代償性肥大や萎縮が見られることがあり、特に肝硬変では右葉の萎縮と左葉の相対的肥大が特徴的です(Hess et al., 1989; Sherlock and Dooley, 2002)。画像診断(CT、MRI、超音波)において、左葉の評価は肝機能や肝疾患の診断、治療計画の策定に欠かせません(Dodd et al., 1999; Kamel et al., 2003)。

参考文献