オトガイ舌筋 Musculus genioglossus

J0065 (下顎の右半分、筋の起こる所と着く所:内側からの図)

J0558 (喉頭と舌の動脈:右側からの図)

J0639 (頭頚部の正中矢状断:左側からの右半分の図)

J0640 (頭部の前頭断、後方からの図)

J0660 (舌筋:右側からの図)

J0661 (舌の深層筋:右側からの図)

J0662 (新生児の舌を正中付近で矢状断した図)

J0663 (新生児の舌体を通る冠状断)

J0668 (粘膜を取り除いた後の舌の下面と周囲、舌の先端が上がっている図)

J0684 (咽頭の筋、右側からの図)

J0919 (右側の舌神経:右方からの図)
オトガイ舌筋は舌の最大の外舌筋であり、解剖学的および機能的に極めて重要な筋肉である (Standring, 2023)。舌の運動と形状制御において中心的な役割を果たし、嚥下、構音、咀嚼などの生理機能に不可欠である。以下に詳細な解剖学的特徴と臨床的意義を示す:
解剖学的特徴
起始と停止
- 起始:下顎骨のオトガイ棘(mental spine)の上部から起こる。オトガイ棘は下顎骨体の内側面、正中線近傍に位置する小さな骨性突起である (Moore et al., 2022)。
- 停止:舌背粘膜直下から舌尖部まで、舌体のほぼ全長にわたって広範囲に停止する。舌骨への一部の付着も認められる (Drake et al., 2020)。
筋線維の走行と構造
オトガイ舌筋の筋線維は起始部から後上方に向かって扇状に放射状に広がり、機能的に3つの部分に区分される (Standring, 2023):
- 上部線維(superior fibers):舌尖部に向かって前上方へ走行し、舌の前方突出に主に関与する。
- 中部線維(middle fibers):ほぼ水平に後方へ走行し、舌背の中央部に分布する。舌背の陥凹形成に寄与する。
- 下部線維(inferior fibers):舌骨に向かって後下方へ走行し、舌根部の安定化と舌骨への付着を通じて舌全体の位置制御に関与する。
解剖学的位置関係
- 内側境界:正中で対側の同名筋と接し、両側のオトガイ舌筋の間には舌中隔(lingual septum)と呼ばれる結合組織性の隔壁が存在する (Netter, 2023)。
- 外側関係:外側は舌骨舌筋(hyoglossus muscle)によって覆われる。
- 下方関係:オトガイ舌骨筋(geniohyoid muscle)の上方に位置し、口腔底の筋群と密接な位置関係にある。
- 内舌筋との関係:オトガイ舌筋の筋線維は内舌筋(上縦舌筋、下縦舌筋、横舌筋、垂直舌筋)と複雑に交錯し、舌の精密な三次元的運動を可能にしている (Sinnatamby, 2024)。
神経支配と血管分布
神経支配
- 支配神経:舌下神経(hypoglossal nerve、第XII脳神経)による運動支配を受ける (Netter, 2023)。