前脛骨筋の腱下包 Bursa subtendinea musculi tibialis anterior

J0260 (右の内側楔状骨:内側からの図)

J0521 (右足背の第二層の筋)

J0525 (右足の腱鞘は、脛骨側から赤い物質で注入された図)
解剖学的構造
前脛骨筋の腱下包は、前脛骨筋腱が足関節を越えて停止部に至る際に形成される滑液包(bursa synovialis)です(Standring, 2020)。この腱下包は、前脛骨筋腱の深層面と骨面との間に介在し、腱の滑走を円滑にする重要な構造物です(Moore et al., 2018)。
解剖学的位置:
- 前脛骨筋腱の深層(骨側)に位置
- 内側楔状骨(os cuneiforme mediale)の底側面と第1中足骨(os metatarsale I)基部の内側面に接する(Netter, 2018)
- 足関節前面の伸筋支帯(retinaculum musculorum extensorum)の遠位に存在
- 長母趾伸筋腱の内側、長趾伸筋腱の内側前方に位置
構造的特徴:
- 薄い結合組織性の嚢状構造で、内面は滑膜(synovial membrane)で覆われている(Standring, 2020)
- 滑液(synovial fluid)を含み、腱と骨との間の摩擦を軽減
- 腱鞘(vagina tendinis)とは異なり、腱を取り囲むのではなく、腱と骨の接触面のみに存在(Benjamin et al., 2004)
- 個体差があり、一部の個体では明瞭でない場合もある
機能的意義
前脛骨筋の腱下包は、以下の重要な機能を担っています(Shaw & Benjamin, 2007):
- **摩擦の軽減:**前脛骨筋腱が内側楔状骨および第1中足骨に停止する際、骨表面との間で生じる摩擦を最小限に抑える
- **腱の保護:**反復的な足関節の背屈運動時に、腱が骨隆起による機械的ストレスから保護される
- **滑走の円滑化:**滑液の潤滑作用により、歩行や走行時の前脛骨筋の収縮に伴う腱の滑走がスムーズになる(Tortora & Derrickson, 2017)
- **圧力の分散:**腱が骨に停止する部位での圧力を均等に分散させる