浅鼡径輪 Anulus inguinalis superficialis

J0437 (錐体筋:腹面図)

J0444 (男性右外側の鼡径輪と卵円窩)

J0489 (右側の鼡径部の筋を鼡径靱帯の直下で切断した図)

J0783 (開かれた陰嚢:前方からの図)

J0805 (男性の会陰筋:下方からの図)

J0806 (女性の会陰筋:下から見た図)

J0953 (右側の肋間神経の経路:右側前方からの図)
定義と位置
浅鼡径輪(Anulus inguinalis superficialis)は、外腹斜筋腱膜の裂孔として形成される三角形の開口部で、鼡径管の外側(表層)開口部として機能します (Standring, 2020)。恥骨結節の外側上方に位置し、鼡径靭帯の内側端上に存在します (Moore et al., 2018)。この構造は鼡径部の解剖学的弱点となり、ヘルニア形成の重要な要因となります (Kingsnorth and LeBlanc, 2003)。
解剖学的構成要素
浅鼡径輪は以下の主要な構成要素から成ります (Drake et al., 2019; Netter, 2018):
- 内側脚(Crus mediale):より大きく強固な構造で、恥骨結合に付着し、輪の主要な支持構造を形成します (Standring, 2020)
- 外側脚(Crus laterale):より小さく、恥骨結節に付着し、輪の外側縁を構成します (Moore et al., 2018)
- 脚間線維(Fibrae intercrurales):両脚間を横走する線維で、輪の上縁を強化し、開口部の過度の拡大を防ぎます (Drake et al., 2019)
- 反転靭帯(Ligamentum reflexum):外側脚から起こり、内側に走行する線維束で、輪の内側縁を補強します (Netter, 2018)
通過構造物
男性においては以下の構造が浅鼡径輪を通過します (Moore et al., 2018; Skandalakis et al., 2004):
- 精索(Funiculus spermaticus):精巣血管、精管、リンパ管、神経を含む複合構造
- 腸骨鼡径神経の性器枝(Genital branch of genitofemoral nerve):陰嚢前面および大腿上部の皮膚知覚を支配
- 陰部大腿神経の性器枝:精巣挙筋反射に関与し、精巣挙筋を支配します
女性においては以下の構造が通過します (Standring, 2020):
- 子宮円靭帯(Ligamentum teres uteri):子宮底から起こり、大陰唇に終わる線維性索状構造
- 腸骨鼡径神経の性器枝:大陰唇および鼡径部の皮膚知覚を支配
鼡径管との関係
浅鼡径輪は、鼡径管(長さ約4~5cm)の外側開口部として機能します (Drake et al., 2019)。鼡径管は下腹壁の斜走する管状通路で、胎生期の精巣下降経路として形成されます (Skandalakis et al., 2004)。鼡径管の内側開口部である深鼡径輪(内鼡径輪、Anulus inguinalis profundus)は、下腹壁動静脈の外側で腹横筋膜の陥凹として形成され、鼡径靭帯の中点より約1.5cm上方に位置します (Moore et al., 2018)。