外腹斜筋 Musculus obliquus externus abdominis

J0215 (右の寛骨:筋の起こる所と着く所を示す外側からの図)

J0216 (右の寛骨:筋の起こる所と着く所を示す前外側少し下方からの図)

J0395-0401 (筋の形状)

J0427 (広頚筋を除去した後の右胸部の筋:腹側図)

J0433 (横隔膜:腹腔からの図)

J0435 (腹筋:右側前方からの図)

J0436 (腹筋、正面からの図)

J0438 (腹筋(第2層):腹面図)

J0439 (右の内腹斜筋の腱が腹直筋鞘に移行する図)

J0441 (弓状線より上部:腹壁の断面図)

J0442 (弓状線より尾側:腹壁を横断する図)

J0444 (男性右外側の鼡径輪と卵円窩)

J0445 (右側の男性の鼡径管(第2層):前方からの図)

J0448 (広い背筋:背面図)

J0450 (腰部の筋(第1層)、後方からの図)

J0452 (腰部の筋:横断図)

J0598 (右大腿表層の動脈:腹面図)

J0954 (体幹の皮神経:正面右側からの図)

J0959 (右大腿の皮神経:前面からの図)

J0964 (右大腿の皮神経:後方からの図)
外腹斜筋は、腹部の側面と前面を覆う最大かつ最も表層に位置する扁平な筋肉です。筋線維が下内側に向かって斜走する特徴があり、その配置は木の葉の形状に例えられます。この筋肉は腹壁の重要な構成要素であり、体幹の運動や腹腔内圧の調節に不可欠な役割を果たしています(Gray et al., 2020)。
解剖学的特徴
起始
外腹斜筋は下部8肋骨(第5〜12肋骨)の外側面から起始します。その起始部は鋸状に配列し、前鋸筋と指を組むように交互に位置します。この交互配列により、両筋肉間の力の伝達が効率的に行われます(Standring, 2021)。
上部5本の肋骨からの起始部は前鋸筋と、下部3本の肋骨からの起始部は広背筋と交互に配列します。これらの筋束は扇状に広がりながら下内側方向へ走行します。
停止
外腹斜筋の停止は複数の部位に分かれており、それぞれが異なる機能的意義を持ちます:
- 下部肋骨から生じる厚い筋線維(後部筋束):腸骨稜の外唇前半部および上前腸骨棘に直接付着します。この部分は筋性停止であり、骨盤の安定化に直接関与します。
- 中部および上部の筋線維:前腹壁の広い腱膜(外腹斜筋腱膜)に移行します。この腱膜は正中線(白線)で対側の腱膜と結合し、腹直筋鞘の前葉を形成します。腱膜は薄いが強靭な線維性組織で、腹壁の緊張を維持します(Moore et al., 2018)。
- 下部の腱膜線維:折り返して鼠径靭帯(Poupart靭帯)を形成し、恥骨結節から上前腸骨棘まで伸びます。鼠径靭帯は下腹壁と大腿部の境界を形成し、鼠径管の下壁を構成します。
腱膜の下部内側には外鼠径輪(浅鼠径輪)が形成され、これは鼠径管の表在性開口部となります。外鼠径輪は三角形の開口部で、精索または子宮円索が通過します。
筋線維の走行と構造
- 筋線維の走行は下内側方向(肋骨から恥骨方向)で、臨床的には「両手をポケットに入れる方向」と記憶されます(Netter, 2019)。この走行方向は体幹回旋時の力学的効率を最大化します。
- 腱膜の下部は鼠径管の前壁を形成し、その下縁に外鼠径輪があります。鼠径管は腹壁の弱点となりやすく、鼠径ヘルニアの好発部位です。
- 筋膜構造:外腹斜筋は浅腹筋膜(Scarpa筋膜)と深腹筋膜に覆われます。浅腹筋膜は二層構造で、表層のCamper筋膜(脂肪層)と深層のScarpa筋膜(膜様層)から成ります。
外腹斜筋の厚さは部位によって異なり、後外側部で最も厚く、前腹壁に向かうにつれて薄くなります。筋線維の厚さは約8〜12mmですが、腱膜部分は1〜2mm程度の厚さになります。
隣接する解剖学的構造
外腹斜筋は以下の構造と密接に関連しています: