前鋸筋 Musculus serratus anterior

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J0163 (右肩甲骨、筋の起こる所と着く所:背面からの図)

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J0420 (頚部の筋(第3層):右側からの図)

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J0427 (広頚筋を除去した後の右胸部の筋:腹側図)

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J0429 (右の胸筋(第2層)、正面からの図)

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J0430 (右の前鋸筋(外側鋸筋):外側およびやや腹側からの図)

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J0435 (腹筋:右側前方からの図)

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J0436 (腹筋、正面からの図)

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J0438 (腹筋(第2層):腹面図)

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J0440 (腹直筋:腹面図)

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J0443 (腹筋(第3層):腹面図)

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J0462 (右脇の下の筋:尾側図)

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J0463 (右腋窩の筋膜:尾側図)

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J0810 (後期妊娠中の右乳腺:乳房筋に対する位置で自由に調整された標本)

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J0923 (頚部の右迷走神経:右側からの図)

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J0932 (右側の腕神経叢とその短い枝:前面からの図)

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J0934 (右の腕神経叢(鎖骨下部)が下から前に向かっている図)

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J0954 (体幹の皮神経:正面右側からの図)

前鋸筋は胸郭外側に位置する扇状の平らな筋肉で、解剖学的および臨床的に重要な意義を持ちます (Gray and Lewis, 2000; Standring, 2020)。肩甲骨の運動と固定、および呼吸補助において中心的な役割を果たし、その機能不全は重大な臨床的問題を引き起こします。

解剖学的特徴

起始部

前鋸筋は第1〜8または9肋骨の外側面(前外側部)から鋸歯状に起始します (Morimoto et al., 1992b)。起始部は通常9〜10の筋束(歯状突起)から構成され、各筋束は対応する肋骨の外側面および肋間筋膜から起こります。最上部の筋束は第1肋骨および第2肋骨から、中間部は第2〜4肋骨から、下部は第5〜8(9)肋骨から起始します (村田ら, 1968; Standring, 2020)。

起始部には個体差が認められ、日本人を対象とした研究では第1肋骨からの起始が約85%、第9肋骨までの起始が約40%で観察されています (村田ら, 1968)。

停止部

前鋸筋は肩甲骨の内側縁(椎骨縁)全体に停止し、特に上角、内側縁中央部、下角に集中します (村田ら, 1968; Neumann, 2017)。停止部は機能的に3つの部位に区分されます:

筋の構造と走行

前鋸筋の筋線維は肋骨から後外側方向に走行し、肩甲骨下を通過して内側縁に到達します。筋の厚さは起始部で約2〜3mm、停止部で5〜8mmとなり、下部線維が最も発達しています (Eisler, 1912)。筋全体は胸郭外側面を覆い、その範囲は腋窩前壁から背部にかけて広範囲に及びます。

前鋸筋は上部・中部・下部の3つの機能的部位に分けられ (Salmons, 1995)、各部位は異なる運動学的役割を担っています。この区分は臨床的な評価や治療において重要な意義を持ちます。

神経支配

長胸神経

前鋸筋は長胸神経(nervus thoracicus longus)により支配されます。長胸神経は主にC5、C6、C7神経根から起こり、個体差としてC4やC8からの寄与も認められます (加藤・佐藤, 1978; Tubbs et al., 2006)。神経は腕神経叢の上・中幹から分岐し、斜角筋の後面を下降して胸郭外側面に達します。

長胸神経の走行は比較的表層にあり、外傷や手術操作により損傷を受けやすい特徴があります。神経は前鋸筋の表面を下行しながら、通常5〜7本の枝を筋内に送り込みます (Standring, 2020)。

神経支配の変異