甲状舌骨筋 Musculus thyrohyoideus
甲状舌骨筋は、前頚部の舌骨下筋群に属する薄い四角形の筋肉で、胸骨舌骨筋の上方延長としての形態を示します。解剖学的構造、機能、および臨床的意義について、以下に詳述します。

J0075 (舌骨、右半分、筋の起こる所と着く所:左方からの図)

J0417 (頚部の筋(2層):前方からの図)

J0418 (頚部の筋(第2層):右側からの図)

J0419 (頚部の筋(第3層):前方からの図)

J0420 (頚部の筋(第3層):右側からの図)

J0421 (舌骨筋(深層):前面図)

J0919 (右側の舌神経:右方からの図)

J0932 (右側の腕神経叢とその短い枝:前面からの図)
1. 解剖学的特徴
1.1 起始と停止
- 起始:甲状軟骨斜線(linea obliqua)の外側面下部から起始します (Standring, 2023)。この起始部は胸骨舌骨筋の停止部と連続しています。
- 停止:上方に走行し、舌骨体の下縁および舌骨大角(greater horn)の下縁腹側半分に停止します (Gray and Carter, 2021)。
- 筋線維の走行:ほぼ垂直方向に走行し、筋の長さは約2-3cmです。
1.2 神経支配
- 支配神経:第1頚神経(C1)からの線維が舌下神経(CN XII)に合流し、舌下神経の頚根(descending hypoglossal)として甲状舌骨筋を支配します (Moore et al., 2022)。
- 神経経路:C1線維は舌下神経と一時的に合流した後、上根(descending hypoglossal)として分離し、頚神経ワナ(ansa cervicalis)の形成に関与します。
1.3 血液供給
- 動脈供給:主に上甲状腺動脈(superior thyroid artery)および舌動脈(lingual artery)からの分枝により栄養されます (Standring, 2023)。
- 静脈還流:上甲状腺静脈を経て内頚静脈に注ぎます。
1.4 解剖学的位置関係
- 前方:
- 皮膚
- 浅筋膜
- 広頚筋(platysma)
- 胸骨舌骨筋(一部)
- 後方:
- 甲状軟骨板
- 甲状舌骨膜(thyrohyoid membrane)
- 上喉頭動脈・静脈および上喉頭神経内枝が甲状舌骨膜を貫通する部位
- 内側:対側の甲状舌骨筋
- 外側:
- 胸骨舌骨筋
- 肩甲舌骨筋(omohyoid muscle)
- 総頚動脈と内頚静脈を含む頚動脈鞘
2. 機能