後斜角筋 Musculus scalenus posterior

後斜角筋は頚部深層に位置する三角形の筋肉で、斜角筋群の一部を構成します。

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J0418 (頚部の筋(第2層):右側からの図)

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J0419 (頚部の筋(第3層):前方からの図)

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J0420 (頚部の筋(第3層):右側からの図)

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J0423 (深頚筋:正面からの図)

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J0425 (右側の斜角筋:右側からの図)

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J0454 (頚部の筋(左:第2層、右:第3層):背面図)

解剖学的特徴

起始:主に第5・第6頚椎 (C5, C6) の横突起後結節から起こり、一部では第4〜第7頚椎の範囲に広がることもあります (Tubbs et al., 2016)。

停止:第2肋骨の外側面に付着し、変異として第3肋骨にも停止することがあります (Murakami et al., 2003)。

走行:筋腹は中斜角筋の後縁を回り込むように下行し、前外側に向きを変えて肋骨に到達します (Matula et al., 2008)。

神経支配:主にC7およびC8脊髄神経前枝から分岐する腕神経叢の筋枝によって支配されています (Shao et al., 2013)。

血液供給:頚横動脈と肩甲背動脈の枝から栄養を受けています (Cagnie et al., 2008)。

形態学的変異

出現頻度:形態的に不安定で、日本人成人の約39%、日本人胎児の約12%で欠如することが報告されています (Murakami et al., 2003)。

他筋との関係:中斜角筋との境界が不明瞭で癒合する例が多く (約47%)、また肩甲挙筋の腹側分束と癒合することもあります (小川・長島, 2000)。

形態変異:完全に欠如する例から、複数の筋束に分かれる例まで、個体差が大きい筋の一つです (坂井・松村, 2012)。

機能

呼吸機能:主に吸息筋として機能し、第2肋骨を挙上させることで胸郭の拡張に寄与します (De Troyer et al., 2011)。

頚部の運動:両側が同時に収縮すると頚椎の前屈に、片側が収縮すると同側への側屈と反対側への回旋に関与します (Jull et al., 2008)。

姿勢保持:頚部の安定性維持にも寄与しています (O'Leary et al., 2009)。

臨床的意義

胸郭出口症候群:前・中・後斜角筋と第1肋骨の間に形成される斜角筋三角を通過する腕神経叢や鎖骨下動脈が圧迫されることで、上肢の痛み・しびれ・血行障害などの症状を引き起こすことがあります (Sanders et al., 2018)。

頚部痛:斜角筋群の緊張や痙攣は頚部痛や頭痛の原因となることがあります (Bogduk & McGuirk, 2006)。