内側膝蓋支帯 Retinaculum patellae mediale
内側膝蓋支帯は、膝蓋骨を周囲の筋や骨につなぐ線維性の結合組織です。解剖学的構造と臨床的意義は以下の通りです(Amis et al., 2003):

J0495 (右大腿の筋:腹側からの図)

J0497 (右大腿の筋:腹側からの図)

J0507 (右膝の筋:脛側からの図)
解剖学的特徴
- 膝蓋骨および膝蓋靭帯の内側縁に沿って位置しています(Biedert and Friederich, 2004)。
- 内側広筋(vastus medialis)の腱膜と大腿筋膜(fascia lata)の深層部分の融合により形成されます(Warren and Marshall, 1979)。
- 近位は内側大腿顆に、遠位は脛骨内側顆および脛骨粗面に付着しています(Conlan et al., 1993)。
- 厚さ約0.5-1.0mmの薄い線維性組織で、強い縦走線維束が膜状に広がり、関節包を強化しています(Desio et al., 1998)。
- 内側膝蓋大腿靭帯(MPFL: medial patellofemoral ligament)を含む複合体の一部として機能します(Feller et al., 1993)。
機能的役割
- 膝関節の伸展および屈曲運動中に膝蓋骨を内側に安定化させます(Hautamaa et al., 1998)。
- 膝蓋骨の過度な外側変位を防止し、膝蓋骨の適切な軌道(patellar tracking)を維持します(Nomura et al., 2000)。
- 関節包への付着部を通じて、関節液の漏出を防ぐバリアとしても機能します(Panagiotopoulos et al., 2006)。
臨床的意義
- 膝蓋骨脱臼(特に外側方向への脱臼):内側膝蓋支帯の損傷や弱体化が主要な原因となります(Atkin et al., 2000)。
- 膝蓋大腿痛症候群(patellofemoral pain syndrome):内側支持構造の機能不全により、膝蓋骨の異常な運動パターンを引き起こすことがあります(Crossley et al., 2004)。
- 内側膝蓋支帯の修復または再建は、反復性膝蓋骨脱臼の外科的治療において重要な手技です(Ahmad et al., 2000)。
- 膝関節鏡検査や膝関節手術の際に、内側膝蓋支帯を通るポータルの設置に解剖学的指標として利用されます(Reider et al., 1981)。
これらの解剖学的および機能的特性から、内側膝蓋支帯は膝関節の安定性と正常な生体力学的機能の維持に不可欠な構造であり、スポーツ医学や整形外科領域において重要な臨床的意義を持ちます。
参考文献