肩関節

肩関節は、肩甲骨関節窩と上腕骨頭との典型的な球関節です。関節窩は小さく、関節頭としての上腕骨頭の関節面の約1/3の広さしかありません。関節窩の周縁は、線維軟骨性の関節唇によって補われます。関節包の外側には特に強い靭帯がないため、両者の結合はゆるく、関節の自由な運動を可能にします。肩甲筋群は肩甲骨から起始して上腕骨近位部に停止し、補強靱帯の代わりとなります。 関節包は、上方に関節窩の周縁につき、ここで関節唇の外側と癒着し、下方には上腕骨の解剖頚につきます。また、内側は関節の下方でゆるみがあるため、上肢の回転を可能にしますが、同時に下方への脱臼を引き起こしやすい原因となります。関節腔内は、上腕二頭筋長頭の腱によって貫かれます。この腱は下方から上腕骨の結節間溝を通って関節腔に入り、上腕骨頭の前面を通って肩甲骨の関節上結節につながります。 肩関節は全身の関節の中で最も大きい運動範囲を持ち、屈曲(前方挙上)、伸展(後方挙上)、内転、外転、描円、および回旋に分類されます。これらの運動は、上肢帯の関節(胸鎖関節と肩鎖関節)との共同運動によって範囲が増大されます。肩甲骨関節窩は、前頭面(左右方向)に向いているのではなく、前外方に約30度の角をなす面にあります(この面を肩甲骨面という)。肩関節の運動もこの面において最も運動範囲が広いです。日常生活で物を書くときや箸を使うときの上腕骨の位置もこの面にあります。 肩関節に属する靭帯として、次のものがあります。関節上腕靱帯は、関節唇の上前縁より発生し、解剖頚につながります。烏口上腕靱帯は、烏口突起の外側面より発生し、上腕骨結節間溝の近位端に伸び、ここで上腕二頭筋長頭の腱を覆います。

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J0310 (右肩関節:前方からの図)

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J0311 (右肩関節:前方からの図)

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J0312 (右肩関節:後方からの図)

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J0313 (右肩関節:後方から前面断図)