舟状骨粗面 Tuberositas ossis navicularis
舟状骨粗面は、足根骨である舟状骨の内側面に突出する顕著な骨性隆起です。この構造は足の内側縦アーチの維持と足部の機能において重要な解剖学的ランドマークとなっています(Sarrafian, 1993)。

J0256 (右足の舟状骨:後方からの図)

J0257 (右足の舟状骨:前方からの図)

J0271 (右足の骨:内側からの図)
解剖学的特徴
位置と形態:
- 舟状骨の内側面、足の内側縁に位置し、内果の前下方約2.5〜3cm、足底面から約1〜1.5cm上方に存在します(Standring, 2016)。
- 舟状骨粗面は内側に向かって突出し、皮下で容易に触知可能な骨性の隆起を形成します。
- 粗面の大きさと形状には個人差がありますが、通常は卵円形から円錐形の形態を呈します(Sarrafian, 1993)。
関連する筋腱構造:
- 後脛骨筋腱(Tibialis posterior tendon)が舟状骨粗面に主要な付着部を持ちます。この腱は内果の後方を通過し、舟状骨粗面の下部から底面にかけて付着します(Hintermann & Gächter, 1996)。
- 舟状骨粗面の下面には、後脛骨筋腱の深層線維を収容する浅い斜走溝が存在します。
- 後脛骨筋腱は舟状骨粗面だけでなく、楔状骨、立方骨、第2〜4中足骨底にも広範に付着し、足のアーチ支持に寄与します(Hintermann & Gächter, 1996)。
副骨(種子骨):
- 舟状骨粗面には、副舟状骨(Os tibiale externum / Accessory navicular bone)と呼ばれる過剰骨が存在することがあります。
- この副骨は人口の約10〜15%に認められ、舟状骨粗面の後内側に軟骨結合または線維性結合で接続します(Coskun et al., 2009)。
- 副舟状骨はKöhlerの分類でType I(舟状骨内の種子骨)、Type II(舟状骨と軟骨結合)、Type III(舟状骨粗面の著明な突出)に分類されます(Lawson et al., 1984)。
機能的意義
足のアーチ支持機構:
- 後脛骨筋は足の内側縦アーチを支える最も重要な動的安定化機構であり、舟状骨粗面はその主要な付着点として機能します(Myerson, 1996)。
- 後脛骨筋の収縮により、舟状骨は上方かつ内側に引き上げられ、内側縦アーチの高さが維持されます(Hintermann & Gächter, 1996)。