踵骨隆起外側突起 Processus lateralis tuberis calcanei

J0255 (右の踵骨:外側から少し上方からの図)

J0270 (右足の骨、側面からの図)

J0273 (右足の骨:足底からの図)
解剖学的特徴
踵骨隆起外側突起(腓側結節とも呼ばれる)は、踵骨隆起の外側部に位置する骨性突起で、以下のような詳細な解剖学的特徴を持ちます(Sarrafian, 1993):
- **位置と形態:**踵骨の後下端に位置する踵骨隆起の外側部分を構成し、踵骨隆起内側突起(脛側結節)と対をなす構造です。外側突起は内側突起に比べて小さく、幅が狭い形状をしています(Moore et al., 2018)。
- **表面の特徴:**下面は粗面を呈し、足底腱膜(足底筋膜)の外側線維束が付着します。外側面は比較的平滑で、踵骨の外側面へと連続しています(Standring, 2016)。
- **周囲構造との関係:**外側突起の上方には、距骨下関節の後関節面が位置します。前方には踵骨の立方骨関節面があり、内側には踵骨隆起内側突起が存在します(Platzer, 2009)。
付着する軟部組織
- **足底腱膜:**踵骨隆起外側突起は、足底腱膜の外側線維の主要な起始部です。足底腱膜は足のアーチ構造の維持に重要な役割を果たします(Kirby, 2017)。
- **短趾屈筋:**短趾屈筋の一部が踵骨隆起外側突起から起始します(Moore et al., 2018)。
- **小趾外転筋:**小趾外転筋が外側突起の外側縁から起始し、第5趾へと走行します(Standring, 2016)。
臨床的意義
- **踵骨骨折:**踵骨隆起外側突起の骨折は、踵骨骨折の中でも比較的頻度の高い骨折パターンの一つです。特に高所からの転落や交通事故などの高エネルギー外傷で発生しやすく、足関節の内反強制による剥離骨折も見られます(Sanders, 2000; Rammelt et al., 2004)。
- **足底筋膜炎:**踵骨隆起外側突起は足底筋膜の付着部であるため、足底筋膜炎(足底腱膜炎)の際に圧痛点となることがあります。過度の運動や長時間の立位作業により、この部位に微小損傷や炎症が生じることがあります(Young et al., 2001)。
- **踵骨棘:**慢性的な足底筋膜の牽引により、踵骨隆起の付着部に骨棘(踵骨棘)が形成されることがあります。これは足底部痛の原因となります(Barrett & O'Malley, 1999)。
- **画像診断:**単純X線撮影(側面像、軸位像)、CT、MRIを用いて踵骨隆起外側突起の骨折や骨棘の評価が行われます。特にCTは骨折の詳細な評価に有用です(Rammelt et al., 2004)。
- **触診:**踵部の外側下方を触診することで、踵骨隆起外側突起を確認できます。臨床検査において、この部位の圧痛の有無は足底筋膜炎や踵骨骨折の診断に重要な所見となります(McPoil & Hunt, 1995)。
踵骨隆起外側突起は、足の荷重伝達と衝撃吸収機構において重要な役割を果たしており、その損傷は歩行や立位に著しい影響を及ぼすため、整形外科学およびスポーツ医学において重要な解剖学的構造として認識されています(Sarrafian, 1993)。
参考文献
- Barrett SJ, O'Malley R. 1999. Plantar fasciitis and the calcaneal spur: Fact or fiction? Foot & Ankle International, 20(4): 214-218.ー足底筋膜炎と踵骨棘の関係について詳細に論じた臨床研究。