関節面(膝蓋骨の)Facies articularis patellae

J0242 (右の膝蓋骨:後方からの図)

J0341 (右の膝関節:前方からの図)

J0383 (右膝:伸ばして、外内側方向からのX線像)

J0384 (右膝:曲がり、外内側方向からのX線像)
解剖学的構造
膝蓋骨の関節面は、膝蓋骨の後面に位置する滑らかな軟骨被覆面であり、膝関節における膝蓋大腿関節を構成する重要な解剖学的構造です(Standring, 2016)。
形態的特徴:
- 面積は約12-15cm²で、厚さ5-7mmの硝子軟骨に覆われています(体内で最も厚い関節軟骨)(Hunziker et al., 2002)。
- 中央部に縦走する隆起(正中隆起)が存在し、これにより関節面は内側面と外側面の2つの小関節面に分割されます(Drake et al., 2020)。
- 外側面は内側面より広く、大腿骨外側顆のより大きな膝蓋面に対応しています(Standring, 2016)。
- 関節面の形状は個人差があり、加齢とともに変化します(Wiberg, 1941)。
接触関係:
- 膝蓋骨関節面は大腿骨の膝蓋面(滑車面)と接触し、膝蓋大腿関節を形成します(Drake et al., 2020)。
- 膝の屈曲角度により接触部位が変化します(Goodfellow et al., 1976):
- 伸展位(0-30°):膝蓋骨の遠位部が接触
- 中間屈曲位(30-90°):膝蓋骨の中央部が接触
- 深屈曲位(90°以上):膝蓋骨の近位部が接触
機能的意義
生体力学的役割:
- 大腿四頭筋の力を脛骨粗面に効率的に伝達するテコの支点として機能します(Huberti & Hayes, 1984)。
- 大腿四頭筋腱の作用線を前方に移動させることで、モーメントアームを約30-50%増大させ、膝伸展の効率を高めます(Fuss, 1992)。
- 膝屈曲時に大腿骨顆部を保護し、応力を分散させます(Reilly & Martens, 1972)。
荷重分散:
- 膝蓋大腿関節には体重の0.5倍(歩行時)から3-5倍(階段昇降時)、最大7-8倍(スクワット時)の圧縮力がかかります(Reilly & Martens, 1972)。
- 厚い関節軟骨が衝撃を吸収し、応力を分散させます(Hunziker et al., 2002)。