末節骨(手の)Phalanx distalis manus
解剖学的特徴
手の末節骨(遠位指節骨)は、各指の最も遠位に位置する指節骨で、指尖部の骨格を形成します(Standring, 2020)。第1指(母指)から第5指(小指)まで、それぞれ1つずつ、計5個の末節骨が存在します。

J0202 (右の第三指の中手骨と指節:手の背面からの図)

J0203 (右の手骨:手掌側からの図)

J0204 (右の手骨:手の背側からの図)

J0324 (右手の第3指の中手骨と関節、および靱帯、橈骨側からの図)
形態学的特徴
- 全体的形状:他の指節骨(基節骨、中節骨)と比較して最も小型で短い骨です(Drake et al., 2019)
- 近位端:中節骨(母指では基節骨)の遠位端と関節する近位指節間関節面を持ちます
- 骨体:掌側(手掌側)に凸の湾曲を示し、背側はやや平坦です
- 遠位端:特徴的な形態を示します(Tubiana et al., 1998)
- 関節面は存在しません
- 掌側面に粗面(tuberositas phalangis distalis)があり、馬蹄形を呈します
- 背側は爪床を支持するために平坦化しています
- 指尖部に向かってやや膨隆した後、細くなって終わります
付着構造
- 深指屈筋腱(musculus flexor digitorum profundus):遠位端掌側面の粗面に付着し、遠位指節間関節の屈曲を行います(Standring, 2020)
- 長母指屈筋腱(musculus flexor pollicis longus):母指末節骨の掌側粗面に付着します
- 指伸筋腱(musculus extensor digitorum):末節骨背側面に付着し、指の伸展に関与します(Doyle, 2001)
- 爪床および爪周囲組織:末節骨背側面は爪床の支持構造となります
血管支配
末節骨は指動脈(総掌側指動脈および背側指動脈)の分枝によって栄養されます。骨膜動脈と栄養動脈が骨への血液供給を担います(Moore et al., 2018)。
臨床的意義
- 槌指(マレットフィンガー、mallet finger):伸筋腱の末節骨付着部での断裂または剥離骨折により、遠位指節間関節の自動伸展が不能となります(Doyle, 2001)
- 末節骨骨折:(Stern, 2005)
- 挟圧損傷や直達外力により頻発します
- 開放骨折を伴うことが多く(爪床損傷を含む)、感染のリスクがあります
- 粉砕骨折や縦骨折が多く見られます
- 爪下血腫:末節骨骨折に伴い、爪床下に血液が貯留する病態です(Hart et al., 2005)