中節骨(手の)Phalanx media manus

J0202 (右の第三指の中手骨と指節:手の背面からの図)

J0203 (右の手骨:手掌側からの図)

J0204 (右の手骨:手の背側からの図)

J0324 (右手の第3指の中手骨と関節、および靱帯、橈骨側からの図)
解剖学的特徴
手の中節骨(phalanges mediae)は、第2指から第5指までの各指に1本ずつ存在する長管骨です(Standring, 2020)。親指(第1指)には中節骨は存在せず、基節骨と末節骨のみで構成されます。
一般的形態
中節骨は基節骨を小型化したような形状を呈し、以下の3つの部分から構成されます(Gray, 2021):
- 底(basis phalangis):近位端に位置し、基節骨頭と関節を形成する関節面を持ちます。この関節面は浅い凹面を呈し、その中央には軽度の前後方向の隆起(縦稜)が認められます(Tubiana et al., 1998)。この隆起は基節骨頭の滑車溝に適合します。
- 体(corpus phalangis):中央部の細長い骨幹部で、背側面は凸面、掌側面はやや平坦ないし軽度凹面を呈します。骨幹の両側縁には指の屈筋腱の腱鞘に付着する線維性組織の付着部が認められます(Standring, 2020)。
- 頭(caput phalangis)または指節滑車(trochlea phalangis):遠位端に位置し、末節骨底と関節する滑車状の関節面を持ちます。この滑車面は中央に溝を持ち、両側に顆状の隆起を形成します(Gray, 2021)。
各指の長さの特徴
中節骨の長さには指によって明確な差異があります(Buchanan and Arden, 2013):
- 第3指(中指)と第4指(環指)の中節骨がほぼ同長で最も長く、約25-28mm程度です。
- 第2指(示指)の中節骨はこれに次ぎ、約22-25mm程度です。
- 第5指(小指)の中節骨が最も短く、約15-18mm程度です。
第5指の中節骨は個体差が大きく、時に極端に短小化し、末節骨よりも短くなることがあります。この状態は中節短小症(brachymesophalangy)または短中節骨症と呼ばれ、遺伝的要因や発生異常に関連することがあります(Temtamy and Aglan, 2008)。
関節と機能
中節骨は以下の2つの重要な関節を形成します(Kuczynski, 1975):
- 近位指節間関節(PIP関節:proximal interphalangeal joint):中節骨底と基節骨頭の間に形成される蝶番関節で、主に屈曲・伸展運動を行います。屈曲可能範囲は約100-110度です(Hume et al., 1990)。
- 遠位指節間関節(DIP関節:distal interphalangeal joint):中節骨頭と末節骨底の間に形成される蝶番関節で、同様に屈曲・伸展運動を行います。屈曲可能範囲は約80-90度です(Hume et al., 1990)。
これらの関節により、指の精密な屈曲運動と物体の把持機能が可能となります(Landsmeer, 1962)。