剣状突起(胸骨の)Processus xiphoideus

J0144 (胸骨:前面からの図)

J0145 (胸骨:右側からの図)

J0432 (腹側胸壁の筋:背面図)

J0717 (腹部内臓:前方からの図)

J0718 (小腸:正面からの図)
1. 解剖学的特徴
1.1 基本構造と位置関係
剣状突起(processus xiphoideus)は胸骨の最下端に位置する重要な解剖学的構造で、以下の特徴を持ちます(Gray, 2020; Standring, 2021):
- 胸骨体の下端に連続する薄く平らな突起で、長さは約2〜5cm、幅は1〜3cm程度です。
- 第7肋軟骨レベルより下方に位置し、胸骨角(Louis角)の約15〜20cm下方に相当します。
- 上縁は胸骨体と軟骨結合(synchondrosis xiphosternalis)で接続しており、この結合部は可動性があります。
- 前面は浅在性で、皮下脂肪が少ない個体では容易に触知可能な体表ランドマークとなります。
1.2 組織学的特徴と骨化過程
剣状突起の組織学的特性は他の胸骨部分と異なる独特のものです(Moore et al., 2018):
- 成人においても大部分が硝子軟骨で構成されており、骨化が遅い特徴があります。
- 骨化中心は通常3歳頃に出現しますが、完全な骨化は40〜50歳以降まで進行せず、高齢者でも軟骨成分が残存することがあります。
- 軟骨組織は周囲の骨膜性結合組織に囲まれ、豊富な血管分布を持ちます。
- 加齢に伴い石灰化が進行し、骨性化が徐々に増加していきます。
1.3 筋付着部と機能解剖
剣状突起は複数の重要な筋肉の付着部として機能します(Netter, 2019):
- 腹直筋(musculus rectus abdominis):最上部の筋線維が剣状突起の前面に付着し、腹壁の緊張維持に寄与します。
- 腹横筋(musculus transversus abdominis):腱膜の一部が剣状突起に付着し、腹腔内圧の調節に関与します。
- 横隔膜(diaphragma):胸骨部の筋線維が剣状突起の後面に起始し、呼吸運動に重要な役割を果たします。