後結節(環椎の)Tuberculum posterius (Atlantis)

J0120 (環椎:頭蓋骨側からの図)
J0121 (環椎:尾側からの図)

J0298 (環椎と軸椎の靱帯:上方からの図)

J0455 (長い背筋(1層目):背面図)

J0459 (短い背筋(第3層):背面図)

J0460 (短い頚部の筋:後方からの図)
解剖学的概要
環椎の後結節は、第一頚椎(環椎、C1)の後弓中央後面に位置する小さな骨性隆起です。発生学的には他の頚椎の棘突起に相当する構造ですが、環椎では著しく退化しており、棘突起としての形態を呈していません (Standring, 2020; Moore et al., 2018)。
1. 解剖学的特徴
1.1 形態学的特徴
- 後結節は環椎後弓の後面正中線上に位置し、通常は小さな結節状または顆粒状の隆起として認められます。
- 大きさには個体差があり、ほとんど認識できない程度から明瞭な隆起まで様々です (Tubbs et al., 2016)。
- 後弓の厚さは約4-5mmで、後結節部分ではやや厚くなることがあります。
- 稀に後結節が著明に発達し、他の頚椎の棘突起に類似した形態を呈する場合があります(形態学的変異)。
1.2 関連する解剖学的構造
- 上方では後頭環椎間膜(Membrana atlanto-occipitalis posterior)が付着します。この膜は後頭骨と環椎後弓を連結する線維性構造です (Cramer and Darby, 2017)。
- 後頭環椎間膜は硬膜の最外層と連続しており、頭蓋内構造との解剖学的連続性を持ちます。
- 後結節の両側には、椎骨動脈が通過する椎骨動脈溝(Sulcus arteriae vertebralis)が存在します。
- 後結節の下方では、環軸後膜(Membrana atlanto-axialis posterior)を介して軸椎(C2)の棘突起と間接的に連結しています。
1.3 微細構造と組織学的特徴
- 後結節の表面は緻密骨で覆われており、内部には海綿骨が存在します。
- 骨梁の配列は、後結節に加わる筋肉の牽引力に適応した構造を示します。
- 後結節周囲の骨膜は、筋肉や靱帯の付着部として厚く強固です。
2. 筋肉付着部