篩板(篩骨の)Lamina cribosa (Ossis ethmoidalis)
篩骨の篩板は、前頭蓋底の中央部を構成する極めて重要な骨構造であり、解剖学的特徴と臨床的意義の両面から詳細な理解が求められます。

J0040 (篩骨:少し簡略化された後方からの図)

J0041 (篩骨:上方からの図)

J0042 (右の篩骨迷路:内側からの図)

J0044 (篩骨、垂直板:左方からの図)

J0085 (内頭蓋底、アノテーション付き)

J0087 (左側からの頭蓋骨の正中断図)

J0093 (右の眼窩の下部の壁、上方からの図)

J0355 (頭蓋骨:後頭前頭方向からのX線像)

J0904 (硬脳膜と頭蓋骨を通る神経)
1. 解剖学的特徴
1.1 位置と形態
- 篩板は篩骨の水平板として前頭蓋窩の底部に位置し、厚さ約0.2-0.3mmの極めて薄い骨板です (Rhoton, 2002)。この薄さは頭部外傷時の脆弱性の主要因となっています。
- 前方では前頭骨鼻部の篩骨切痕(incisura ethmoidalis)と結合し、後方では蝶形骨体の前縁に接続することで、頭蓋底の完全性を保ちます (Standring, 2021)。
- 正中部では鶏冠(crista galli)が上方に突出し、大脳鎌の前端が付着する構造的ランドマークとなります (Netter, 2019)。
1.2 篩孔の配列と機能解剖
- 篩板には約20-30個の篩孔(foramina cribrosa)が左右対称に配列されており、これらは嗅神経線維束の通路として機能します (Leopold et al., 2000)。
- 内側列の篩孔群は鼻中隔上部の嗅粘膜から起始する嗅糸を通過させ、外側列は鼻腔側壁(上鼻甲介周辺)の嗅粘膜からの嗅糸を通します (Gray and Drake, 2020)。
- 内側列の最前端には前篩骨孔(foramen ethmoidale anterius)があり、前篩骨神経(三叉神経第1枝の眼神経から分岐)および前篩骨動脈が通過して、眼窩と鼻腔を連絡します (Cornelius et al., 2015)。
1.3 周辺構造との関係
- 上面は前頭蓋窩に面し、嗅球が直接接触しています。嗅糸は篩孔を通過した直後に嗅球の糸球体に到達し、第一次シナプスを形成します (Moore et al., 2019)。
- 下面は鼻腔の天蓋を形成し、嗅粘膜で覆われています。この嗅粘膜は呼吸上皮とは異なる特殊な感覚上皮で、嗅細胞(双極性ニューロン)を含みます (Standring, 2021)。
- 外側では篩骨迷路(篩骨蜂巣)に隣接し、内視鏡的副鼻腔手術時の重要な解剖学的ランドマークとなります (Humphrey and Kriet, 2020)。
2. 神経支配と機能
2.1 嗅覚伝導路における役割
- 篩板は末梢嗅覚系と中枢神経系を連絡する唯一の解剖学的通路であり、嗅覚情報伝達に不可欠です (Leopold et al., 2000)。
- 内側篩孔群を通過する嗅神経線維は、鼻中隔上部から起始し、約1,000万個の嗅細胞からの軸索を束ねています (Moore et al., 2019)。