外側部(後頭骨の)Pars lateralis (Os occipitale)

J0020 (後頭骨:前方からの図)

J0021 (後頭骨:後下方からの図)

J0022 (後頭骨:右側からの図)

J0098 (14cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)
J0099 (18cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)
J0100 (12cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)
J0101 (14 cm長(4ヶ月)胎児の内頭蓋底)

J0102 (19cm長(5ヶ月の初め)胎児の内頭蓋底)

J0103 (28cm長(6ヶ月)胎児の内頭蓋底)

J0104 (5cm長(約10週間)胎児の後頭部)

J0105 (7.5cm長胎児(約13週間)の後頭部:後方からの図)

J0106 (7ヶ月胎児の後頭部:前面からの図)
解剖学的構造
後頭骨の外側部は、大後頭孔の両側に位置する重要な解剖学的構造であり、頭蓋底の形成において中心的な役割を果たしています(Gray, 2020; Standring, 2020)。この部分は、脊柱と頭蓋骨を接続する解剖学的基盤を提供し、複数の神経血管構造の通路となっています(Moore et al., 2018)。
主要な解剖学的特徴
- 後頭顆(Condylus occipitalis):外側部の下面に位置する楕円形の隆起で、第1頸椎(環椎)の上関節窩と環椎後頭関節を形成します(Standring, 2020)。この関節は頭部の屈曲・伸展運動(うなずき運動)を可能にする重要な関節です。
- 頚静脈切痕(Incisura jugularis):外側部の前縁に位置し、側頭骨の錐体部にある頚静脈切痕と合わさって頚静脈孔(Foramen jugulare)を形成します(Gray, 2020)。この孔は舌咽神経(CN IX)、迷走神経(CN X)、副神経(CN XI)および内頚静脈の通路となっています。
- 頚静脈突起(Processus jugularis):外側部の外側へ突出する隆起で、頚静脈切痕の外側に位置します。この突起は頭蓋底の強度を高め、周囲の筋肉の付着部となります(Moore et al., 2018)。
- 舌下神経管(Canalis hypoglossi):外側部を前後方向に貫通する管で、舌下神経(CN XII)と舌下神経静脈叢の通路です(Standring, 2020)。この管は後頭顆の上方、大後頭孔の外側縁付近に開口しています。
- 頚静脈結節(Tuberculum jugulare):外側部の上面(内頭蓋底側)に位置する隆起で、延髄の下オリーブ核に対応する表面のランドマークとなります(Gray, 2020)。
臨床的意義
環椎後頭関節の病態:関節リウマチや外傷により環椎後頭関節の不安定性が生じると、延髄圧迫による重篤な神経症状を引き起こす可能性があります(Boden et al., 1993)。また、先天性奇形として後頭骨癒合症(Occipitalization of atlas)では、環椎が後頭骨と癒合し、頸部の可動域制限や神経症状を呈することがあります(Goel, 2015)。
舌下神経管症候群:腫瘍、外傷、炎症などにより舌下神経管が侵されると、同側の舌の運動麻痺(舌下神経麻痺)が生じます(Thompson & Smoker, 1994)。舌を前方に突出させると、麻痺側に偏位する特徴的な所見を呈します。
頚静脈孔症候群:頚静脈孔を通過する複数の脳神経(CN IX、X、XI)が同時に障害される症候群で、嚥下障害、嗄声、肩挙上障害などの多彩な症状を呈します(Kaye et al., 1984)。原因として、グロムス腫瘍、神経鞘腫、転移性腫瘍、頭蓋底骨折などがあります。
頭蓋底骨折:後頭骨外側部を含む頭蓋底骨折では、脳神経損傷や髄液漏のリスクがあります(Diaz et al., 2016)。特に舌下神経管や頚静脈孔を含む骨折では、対応する神経症状の評価が重要です。
画像診断:CT検査では骨構造の詳細な評価が可能であり、骨折や骨破壊性病変の検出に優れています。MRI検査では、舌下神経管や頚静脈孔を通過する神経や血管の評価、周囲軟部組織の病変の検出に有用です(Ginsberg et al., 2000)。
外科的アプローチ:後頭骨外側部へのアプローチは、頭蓋底外科において重要な手技です。頚静脈孔周囲の腫瘍や病変に対しては、後外側アプローチや経頚静脈孔アプローチなどの複雑な手術アプローチが用いられます(Samii et al., 2006)。
参考文献
- Boden SD, Dodge LD, Bohlman HH, Rechtine GR. (1993). Rheumatoid arthritis of the cervical spine: A long-term analysis with predictors of paralysis and recovery. Journal of Bone and Joint Surgery, 75(9): 1282-1297.——関節リウマチによる頸椎病変と環椎後頭関節の不安定性に関する長期追跡研究。
- Diaz RC, Cervenka B, Brodie HA. (2016). Treatment of temporal bone fractures. Journal of Neurological Surgery Part B: Skull Base, 77(5): 419-429.——頭蓋底骨折、特に側頭骨骨折の診断と治療に関する総説。