(RK636(胸大動脈と腹大動脈およびその枝の自然位置)RK662(腹大動脈とその主な枝)RK663(腹腔動脈その枝)RK664(腹腔動脈の分枝))

腹腔動脈は長さ1~2cmの短いが太い動脈で、大動脈が横隔膜を通過した直後か、まだ大動脈裂孔内を通過中にその前壁から分岐する(RK663(腹腔動脈その枝))。

この動脈は真っ直ぐ前方に向かい、小網の後方で肝臓の尾状葉左縁に接している。また、膵臓上縁の上に位置し、その両側には交感神経の腹腔神経節がある。

腹腔動脈は一度に3本の枝に分岐するか、あるいはまず1本の枝を出した後、残り2本に分岐する。これら3枝は左胃動脈・総肝動脈・脾動脈である。

**変異:**腹腔動脈は起始部でしばしば横隔膜に一部被われている。時にこの動脈の枝が大動脈から直接分岐することがある。稀に腹腔動脈から2本のみ枝が出る場合があり、この際、総肝動脈は他の動脈(多くは上腸間膜動脈)から分岐する。また、腹腔動脈から4本の枝が出ることもあり、この場合、追加の胃動脈か十二指腸動脈、あるいは1~2本の横隔膜動脈が分岐する。さらに、かなりの頻度で腹腔動脈と上腸間膜動脈が共通の幹として大動脈から起始することが観察されている。

a) 左胃動脈 Arteria gastrica sinistra

b) 総肝動脈 Arteria hepatica communis

c) 脾動脈 Arteria lienalis