(RK663(腹腔動脈とその枝)、RK664(腹腔動脈の分枝))
これは腹腔動脈の3本の枝のうち最も太く、膵臓の大部分と胃の左部分、および脾臓に血液を供給している。うねりながら、しばしば強く蛇行し、ほぼ横走して、その下方にある脾静脈を伴って膵臓の上縁を左に進み、脾臓の近くで多数の枝に分かれる。比較的大きい5〜6本の枝が脾臓内に入り、その他の枝は胃底に向かう。この動脈の主な枝は次の通りである。
α) 膵枝Rr. pancreatici:多数存在し、そのうちかなり太い1本が膵管に沿って左から右に進む。
β) 短胃動脈Aa. gastricae breves:数と太さが様々で、一部は脾動脈の本幹から、一部はその終枝から分岐し、概して左から右に進み、特に胃底に分布する。
γ) 左胃大網動脈A. gastroepiploica sinistra:胃の大彎に沿って左から右に進み、胃の前後両面と大網に枝を与え、右胃大網動脈と吻合する。
**変異:**脾動脈が大動脈から独立した枝として起こる頻度は、Adachiの研究によると、ヨーロッパ人では433例中7例(約1.6%)であったが、日本人では252例中1例も見られなかった。