環椎後頭関節(第1頭関節)の特徴
環軸関節(第2頭関節)の構造と機能
運動範囲の測定データ
この関節は解剖学的には左右の両関節に分かれているが、既述のように、これらの関節面は横長軸の同一回転楕円体表面上にある。つまり、力学的には単一の関節である。形態分類上は楕円関節に属し、無数の軸周りに回転可能だが、主に2つの運動が区別される。うなづく運動(Nickbewegungen:前屈と後屈)は頚静脈結節の高さを左右に走る軸を中心とし、頭をかしげる運動(Seitbeugung:側屈)の回転軸はそれより上方にあり、前述の軸とは異なる矢状軸で、正中面上を上前方から後下方へ斜走している。
この関節は軸椎の歯突起の中央を上下に貫く軸をもつ回旋関節である。ここでは主として頭の回旋運動が行われるが、この関節はまたうなずく運動と頭をかしげる運動にもわずかに関与している。
この関節に属する関節面は8つあり、軸椎の側方にある2組、歯突起の前面と後面にあるもの、およびこれに対応する環椎と環椎横靱帯の関節面である。しかし、これらは力学的な意味では単一の関節をなし、軸に対して凸側を向けて湾曲した母線をもつ円錐形の関節である。
回旋の範囲は中央の位置から左右へ30°である。外側環軸関節は左右とも、両接触面が膨らんだ湾曲をもつため、頭を中央に向けたときには前後にすきまができる。このことから、回旋運動時に同時に一種のらせん運動が行われると結論される(Henke, R. Fick)。このらせん道はかなり傾斜が急で(ねじの歩みが約3cm)、30°の回旋において、同時に頭が1/12=2.5mm上昇または下降する。垂直軸を中心とする頭の回旋時、環椎は頭蓋の関節円板のような役割を果たしている。脊柱管の内容は歯突起を取り巻く諸靱帯、特に翼状靱帯・環椎横靱帯・蓋膜によって、歯突起から保護されている。
前後に屈曲する運動の大きさは、H. Virchow(Arch. Anat. Phys. 1909)が調べた1例では28°である。そのうち20.5°は第1頭関節、7.5°は第2頭関節の分である。
Hultkrantz(K. Svenska Vetenskapsakademiens Handlingar, Bd. 49, 1912)によれば、前後への屈曲運動の大きさは第1頭関節では18.9°、第2頭関節では12.2°であり、側方への屈曲運動の大きさは第1頭関節で7.5°、第2頭関節で3.8°である。