0016 (右大腿骨、下端部:前面断図)

J0016 (右大腿骨、下端部:前面断図)
図の要点
- 対象:右大腿骨の遠位端(膝に近い側)の前額断。海綿骨(骨梁)の走行が強調されている。
- 外層の緻密骨(皮質骨)は薄い白い殻として連続し、関節面直下には板状の「軟骨下骨板」が見える。
- 内部は海綿骨。荷重方向に沿って骨梁が格子状〜扇状に配列し、関節から受ける圧縮力を脛骨へ伝える「主圧縮骨梁」と、引張応力に対応する「主張力骨梁」が交差して力学的アーチを作る。
- 画像左側に示される「骨端線」は、成長期の骨端軟骨板が閉鎖した痕跡(成人では線状の高密度帯)。成長期にはここが軟骨で、骨幹側と骨端側が分かれていた。
観察ポイント(見方のコツ)
- 関節面直下の高密度帯=荷重が集中する部位。変形性膝関節症ではこの帯の肥厚(軟骨下骨硬化)が進むことがある。
- 骨端線の直下は骨梁がやや水平〜波状に走り、そこから骨幹方向へ向かって縦走骨梁が発達。外反・内反ストレスで配列が非対称になりやすい。
- 皮質骨は顆の外周でわずかに厚く、力の流れに沿って連続する「力のシェル」を形成。
臨床的意義(抜粋)
- 骨折:遠位大腿骨の顆上・顆部骨折は、この骨梁配列の弱点線に沿いやすい。プレート固定では皮質骨シェルの連続性を再建するのが原則。
- スポーツ障害:繰り返す荷重で軟骨下骨板に骨髄浮腫やストレス反応が出ると膝痛の原因になりうる。
- 画像診断:MRIで骨端線痕は低信号帯として、海綿骨アーキテクチャはトラベクラパターンとして評価される。
アノテーション
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A02_0866(大腿骨)Thigh bone →Femur; Os femoris【大腿骨】Femur; Thigh bone (A02_5_04_001)