https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
上腕動脈は大胸筋の下縁で腋窩動脈から始まり、橈骨頚の高さ(肘窩より約1横指遠位)まで達する。ここで橈骨動脈を分枝し、その後、終枝である尺骨動脈と総骨間動脈に分かれる。
**局所解剖:**上腕動脈は尺側上腕二頭筋溝を下方に走行し、徐々に上腕の内側から外側へ向かう。その経路は腋窩中央から上腕骨の尺側上顆と橈側上顆の中点を結ぶ仮想線に一致する。肘窩付近まで表層を走り、上腕二頭筋縁、上腕筋膜、皮膚のみに覆われる。肘窩では円回内筋と腕橈骨筋間の溝に入り、上腕二頭筋腱膜(Lacertus fibrosus)下に隠れる。上方では上腕三頭筋長頭と烏口腕筋間、下方では上腕二頭筋縁と上腕筋間で尺側上腕筋間中隔前方に位置する。前腕では浅層と深層の屈筋群間に存在する(RK650(上腕の動脈、掌側) )。
伴行する上腕静脈(Venae brachiales)は2本あり、動脈の両側に密接し、短い横走枝で相互に連結している。これにより動脈周囲に多数の血管輪(Gefäßringe)が形成される。皮下を走る尺側皮静脈(V. basilica)は、筋膜を介して上腕動脈下半部の内側に位置する。肘窩では肘正中皮静脈が皮下を斜めに横切り、この動脈に接する。
正中神経(N. medianus)は全経路で上腕動脈に伴行する。腋窩では動脈の外側、上腕中央では掌側、さらに下方では内側に位置する。尺側前腕皮神経を除く他の神経は、すでに腋窩で上腕動脈から離れる。
神経:上腕骨に分布する骨神経から細枝が来る。また、HahnとHunczekによると、上腕中央付近で橈側前腕皮神経から1枝、肘関節高で同神経から2枝が上腕動脈に至る。上腕動脈は小さな筋枝(Rami musculares)を近接筋に与える他、上腕深動脈、近位・遠位尺側側副動脈、橈骨動脈、尺側反回動脈を分枝する。最終的に上腕動脈は様々な形態で終枝(尺骨動脈、総骨間動脈、正中動脈)に分かれる。
1. 上腕深動脈 Arteria profunda brachii
2. 近位尺側側副動脈 Arteria collateralis ulnaris proximalis(上尺側側副動脈 Arteria collateralis ulnaris superior)
3. 遠位尺側側副動脈 Arteria collateralis ulnaris distalis (下尺側側副動脈 Arteria collateralis ulnaris inferior)