(RK651(肩および上腕(右)の動脈、背側) )

この動脈は上腕動脈の後内側壁から分岐し、大円筋の縁に沿って後方へ進む。上腕三頭筋の橈側頭と尺側頭の間隙に入り、橈骨神経とともに上腕三頭筋尺側頭の起始部上縁に沿って橈骨神経管を通過する。初めは上腕三頭筋に囲まれ上腕骨後面上にあるが、その後外側面に達し、橈側側副動脈となって終わる。上腕深動脈は筋枝の他に以下の枝を出す:

a) 三角筋枝 R. deltoideus:三角筋下部に至る。

b) 上腕骨栄養動脈 A. nutricia humeri:小結節稜の下方で、通常そこに顕著に存在する上腕骨の栄養孔に入る。

c) 中側副動脈 A. collateralis media:上腕骨後面で上腕三頭筋の尺側頭と橈側頭の間を通り、次いで上腕骨外面に接しながら尺側頭の筋質内を肘の高さまで下行し、肘関節動脈網 Rete articulare cubiti に入る。

d) 橈側側副動脈 A. collateralis radialis:上腕深動脈の最終枝。上腕外側面で橈側上腕筋間中隔の後方を下行し、掌側枝 Ramus volaris と背側枝 Ramus dorsalis に分かれる。掌側枝は腕橈骨筋起始部の掌側で橈側回旋動脈と吻合し、背側枝は肘関節動脈網に至る。

**変異:**上腕深動脈から近位尺側側副動脈が分岐する頻度は、ヨーロッパ人で8.6%、日本人で16.3%である(Adachi)。

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[図651] 肩および上腕(右)の動脈、背側(1/2)

棘下筋の中央部を切除し、三角筋に切開を入れて軽く上方に持ち上げてある。上腕三頭筋の橈側頭は切断し、弁状に反転させてある。