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視床(Thalamus, Sehhügel)は弓状に湾曲した扁平な棍棒状の構造で、以下の面を区別する:
これらの面に対応する縁があり、前端と後端も存在する。
背方の自由面(図418(第三脳室、大脳基底核と脳幹の一部、四丘体、小脳の上面) 、図422(脳幹、四丘体付近、菱形窩) 、図428(中脳、間脳および尾状核の上方からの図) )は帯層(Stratum zonale)という髄質層に覆われ、白く見える。外側縁は長く延びる分界条(Stria terminalis)で境され、これに沿って視床線条体静脈(Vena thalamostriata)が後方から前方へ走る。この静脈上の薄い実質層が内側に延びて付着板(Lamina affixa)となり、視床上面の一部を帯状に覆う。その縁を視床脈絡ヒモ(Taenia chorioidea thalami)といい、側脳室脈絡叢(Plexus chorioideus partis lateralis ventriculi telencephali)が付着する。上面の内側縁は髄条(Stria medullaris)で縁取られ、その稜線を髄ヒモ(Taenia medullaris)といい、第三脳室脈絡叢(Plexus chorioideus ventriculi tertii)が付着する。髄条は後方で松果体(Corpus pineale, Zirbel)の柄である手網(Habenulae)に移行する。手網の腹外側に各側の手網三角(Trigonum habenulae)がある。前方では視床表面が隆起して前結節(Tuberculum rostrale)となる。後端は後下方に張り出し、視床枕(Pulvinar, Polster)と呼ばれる。その外側に楕円形の外側膝状体(Corpus geniculatum laterale, seitlicher Kniehöcker)が突出し、内側膝状体(Corpus geniculatum mediale, medialer Kniehöcker)は長さ8mm、幅4mmの明瞭な膨らみとして視床枕の腹方稜下にある(図417(脳底の図) 、図420(脳幹と脳神経を示す図) 、図422(脳幹、四丘体付近、菱形窩) )。
視床の内側面(図408(脳の正中断面) 、図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの) )は第三脳室に面する部分で灰白色を呈し、後交連から室間孔まで延び、背方は髄条まで、腹方は視床下溝(Sulcus hypothalamicus)まで達する。中央部よりやや前方で、左右の視床内側面が中間質(Massa intermedia)でつながるが、この二次的に生じた灰白質の橋の大きさは変異が大きい(図428(中脳、間脳および尾状核の上方からの図) 、図432(脳、前額断面III:中間質を通る切断面) )。
図418(第三脳室、大脳基底核と脳幹の一部、四丘体、小脳の上面)
図433(**脳,前額断面IV:**後交連の直前で切断し、後方の切断面を前方からの図)
視床の腹方面は視床下部と接し、外側面は内包と接する。内包は白質からなり、大脳脚の上方への続きである(図432(脳、前額断面III:中間質を通る切断面)、図433(**脳,前額断面IV:**後交連の直前で切断し、後方の切断面を前方からの図)、図434(脳、水平断面I) 、図436(脳、水平断面II) )。
視床は灰白質と白質からなる。灰白質には視床前核(Nucleus rostralis thalami)、視床内側核(Nucleus medialis thalami)、視床外側核(大核)(Nucleus lateralis (Nucleus magnus) thalami)があり、これらは髄板(Laminae medullares thalami)と呼ばれる線維層によって不完全に分けられ、線維束によって貫かれている。そのため、これらの核は断面で縞模様を呈する。
前核はその位置により前結節(Tuberculum rostrale)を形成する(図433(**脳,前額断面IV:**後交連の直前で切断し、後方の切断面を前方からの図)、図434(脳、水平断面I) )。
上記3核の他に、小さい視床中心核(mittlerer Kern, Zentralkern、ルイの中心核 Centre médian de Luys)、およびチッシュの膝蓋体(Corpus patellare von Tschisch)がある。後者は中脳の赤核から視床外側核に至る線維群と中心核の間に位置する。
視床前核底部には、乳頭体からの有髄神経線維束がロート状に広がって達する。これがヴィック・ダジール束(Vicq d'Azyrsches Bündel)、すなわち乳頭視床束(Fasciculus mamillothalamicus)(図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの) 、図432(脳、前額断面III:中間質を通る切断面) )である。これは乳頭体から発し、視床下部を弓状に貫いて視床前核に終わる。
第三脳室に面する視床の灰白質は、第三脳室の中心灰白質(zentrales Grau)または脳室腔灰白質(Höhlengrau)、あるいは視床下灰白部(Pars grisea hypothalami)と呼ばれ、二次的形成物である中間質(Massa intermedia)を構成し、腹方は脳底灰白交連に連続する(図432(脳、前額断面III:中間質を通る切断面) )。脳室腔灰白質はヴィック・ダジール束の下部と脳弓柱没部(Pars tecta columnae fornicis)(図410(脳の正中断面の一部を拡大したもの) )を含み、後者は乳頭体に達する。中間質より後方の領域には手網核(Nucleus habenulae)を有する手網三角(Trigonum habenulae)がある。手網核からはマイネルト束(Meynertsches Bündel)、反屈束(Fasciculus retroflexus、手網脚間路Tractus habenulointercruralis)という有髄線維束が起こる。
[図425]歯状回、小帯回
(図中のUncusbändchenは、いわゆるジアコミニ縁帯 Limbus Giacominiを指す。(小川鼎三))
[図426]小脳(Cerebellum):下面からの視点
[図427]小脳:前下方からの視点。
図の右側では小脳扁桃を除去している。